南が丘動物通信

猫の咬傷 09年12月30日

猫同士とくに去勢していない雄同士のケンカなどにより起こります。一般的に、猫は引っ掻くというイメージが強いのですが、猫同士の激しいケンカでは噛み付くことが多いです。爪による負傷よりも咬傷の方が膿瘍を形成するなど重篤化しやすいようです。頭部、四肢、背側部、尾根部周囲に多く発生するようです。咬まれた直後の傷は、とても小さく、出血もほとんど無く、被毛に隠されてしまうため見逃してしまいやすいです。そのまま気づかずに放置してしまうと、どんどん進行し、膿瘍を形成します。発生部位によっては跛行などの症状も発現します。さらに全身的な発熱が起こり、元気消失や食欲低下といったしょうじょうまで認められるようになります。膿瘍周囲の皮膚は壊死を起し、穴が開き排膿します。気づくのが遅れてしまうと敗血症を起し致命的な状態になることも考えられます。ごく早期に発見できた場合には、抗生物質による内科療法により治療できることもありますが、時間が経過した例では切開排膿、洗浄、ドレーン留置、縫合、皮弁形成術などの外科処置が必要となってしまうことがほとんどです。
基本的には猫を外出させないことが一番の予防になります。しかし、すでに外出覚えてしまった猫の外出を完全に防止することは困難かもしれません。早めに避妊・去勢手術を行うことで猫の外出意欲を低下させることも有効であり、また、外出してしまったとしても攻撃性が低下し、他の猫とのケンカが少なくなくなることが考えられます。また、咬傷だけの問題ではなくケンカにより猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)などに感染してしまう可能性もあります。交通事故に遭遇捨てしまう可能性も考えられます。外出することにより猫の寿命を縮めてしまうような危険がいっぱいあります。猫は外出させずに飼うことが理想的でしょう。