南が丘動物通信

犬の認知症-徘徊行動- 18年12月02日

 高齢になったわんちゃんの認知症の症状の1つとして徘徊行動というものがあります。これは人の認知症と同様に、当てもなくうろうろしているのではなく本人からすれば目的があるものの、意識障害や認知機能障害から自分のいる場所がわからなくなったり、ストレスなどによってその行動パターンが現れていると考えられています。徘徊にはぐるぐる同じような場所を歩き回る常同行動、あちこち落ち着きなくあるく過活動、迷子になっている状態の見当識障害の3つがあります。

 認知症での徘徊行動はこのうちの迷子になっている状態である見当識障害から引き起こされてきます。このようなわんちゃんに対してまずは、酸化ストレスが脳の神経細胞にダメージをきたしていることがわかっているため、その酸化ストレスを軽減してあげられるような抗酸化成分を含むフードやサプリメントの使用がお勧めされます。他、お薬を使って落ち着かせてあげることもあります。

 オーナー様の介護の方法としては、徘徊しているわんちゃんに対して無理に止めようとするとストレスがかかってしまい、不安になってしまうことにより逆に行動が悪化することがあります。このようなわんちゃんではむしろ安全に歩き回れる環境を作ってあげることが問題を少なくしてあげられると考え、転んだりぶつかっても安全なように四方を柔らかい素材で囲ってあげ、本人は好きにうろうろさせてあげることが結果的に問題が少なくなるという報告がありますのでそういうような環境作りもご一考していただければどうでしょうか。

S.A