南が丘動物通信

犬のインスリノーマの治療 18年01月29日

最近犬のインスリノーマ(膵臓にできるインシュリンを分泌する腫瘍)の症例の来院が続きました。低血糖をおこし痙攣、神経症状をおこすのですぐに命にかかわる病気です。診断は低血糖の状態でもインシュリンが分泌されているかどうかで判断できます。最近はCT撮影によって腫瘍のある場所が特定できることが多く手術計画がたてやすくなりました。インスリノーマは残念ながら悪性度が高い腫瘍で、治療法は下記のようになります。飼い主様にどのような選択をするのか参考にしていただいております。<手術>平均生存期間が長い。術後平均生存期間は12.5カ月(1年半)。利点:低血糖が解除されたら再発まで費用は掛からないし、副作用もない。転移している場合生存期間が長くないかもしれない。欠点:術後に医原性膵炎がおきることがある。1か月以内の死亡例は13割(画像上転移がない場合)広範囲切除で術後糖尿病になる場合がある。<副腎皮質ホルモン内服>平均生存期間2.4ヵ月 利点:内服のみ。欠点:肝炎、膵炎を誘発。医原性クッシング症候群、心臓、腎臓、高脂血症、皮膚などに問題をおこす。<ジアゾキシド内服>抗インスリン作用、グルコース消費70%の犬の低血糖をコントロール可能。利点:副作用は比較的少ない。欠点:非常に高額。<ストレプトゾドシン点滴>平均生存期間163日 利点:摘出できない腫瘍に対応可。欠点:低血糖、嘔吐、腎毒性、繰り返し血糖値とインスリン濃度計測必要。今回のワンちゃんたちも手術を選択していただき、幸いに良い経過をとってくれています。 S.S

RIMG5569.JPG