南が丘動物通信

インターフェロンを用いたがん治療 17年04月09日

インターフェロン療法はがんに対する免疫療法のひとつです。がんの治療では、現在広く行われている外科療法、化学療法、放射線療法に続き、免疫療法が第4の治療法として期待されています。

生体にはNK細胞やキラーT細胞、マクロファージ、ヘルパーT細胞などといった腫瘍に対する免疫学的監視機構がもともと備わっています。腫瘍罹患犬は健常犬と比較するとこれらの細胞が減少し、逆に抗腫瘍免疫を抑制する制御性T細胞が増加しています。インターフェロンの主な抗腫瘍効果には、全身・腫瘍組織中の免疫担当細胞を刺激・活性化させる間接作用と、細胞死(アポトーシス)の誘導促進や細胞増殖抑制といった直接作用があります。肥満細胞腫、悪性黒色腫、上皮向性リンパ腫、移行上皮癌などの悪性腫瘍に対してインターフェロンを用いた症例が近年報告されています。

当院においても腫瘍症例に対する治療オプションのひとつにインターフェロン療法を採用しております。ご検討の飼い主様はその詳細についてぜひ獣医師にご相談ください。

H.B.