避妊・去勢手術

当院の避妊・去勢手術の特徴

1 安心の設備

血管シーリング

当院では動物に負担をかけず、精緻に作業できる最新の手術機器を装備しています。近年、血管の縫合に用いた糸が体に残ることで発生する「縫合糸反応性肉芽腫」が問題になりました。肉芽腫を防ぐには、糸を使わずに電気メスで血管をシーリングする必要があり、当院ではこの安全な血管シーリングを採用しています。血管シーリングにすると手術時間が短縮し、動物の体にかかる負担も軽減されます。

無菌手術室/クリーンルーム

クリーンルーム用のエアコン、空気交換器による陽圧維持、紫外線殺菌器や手術室用密閉式自動扉などにより手術室を無菌状態に保っております。耐性菌が問題になっている昨今、整形外科、脳・神経外科など無菌的な環境を必要とする高度な手術だけでなく、避妊手術をはじめとした開腹手術や、開胸手術にもより安全な手術環境を提供いたします。

ベアハガー(保温器)

麻酔をかけられた動物は、約1時間で平常時の1~2度以上体温が下がります。避妊・去勢手術は短時間で手術可能ですが、子犬や子猫のような体の小さい子は30分の手術でも体温が下がってしまいます。ベアハガーとは手術中の動物の体温維持をするための温風式保温器で、体の小さい子でもより安全に手術を行うことができます。

2 安心の医療技術

年間1000件を超える手術執刀

獣医療と共に医療機器は進歩し、動物に負担の少ない手術を実現しやすくなっています。とは言え、結局のところ外科手術は獣医師の執刀技術に頼る部分が非常に大きいのも事実です。当院では豊富な手術実績を持つ獣医師が多数在籍しておりますので、飼い主様の大事な愛犬・愛猫の手術を安心してお任せ下さい。

3 動物に寄り添った手術

ペインコントロール

犬や猫も人間と同様に痛みを感じます。一般的に【麻酔薬】といわれているものはあくまで動物の意識を無くすものであり、痛みを感じさせなくするものではありません。手術中、意識が無かったとしても痛みは感じている状態であり、麻酔から覚めた後は痛みを感じることになります。
この痛みを軽減するため当院では「ペインコントロール」を取り入れています。
ペインコントロールをすることは、動物を「痛み」による辛さや恐怖から解放するだけでなく、傷の治りを早める効果があることもわかっています。

手術の流れ

1 身体検査&術前検査

避妊・去勢手術は全身麻酔をかけるため、内臓等に問題がないか事前に血液検査をします。特に麻酔の代謝に関わる「腎臓」「肝臓」に異常が無いか確認します。また、必要に応じて胸部レントゲン検査を行い、「心臓」に異常が無いか確認します。検査結果から問題が無い子のみ、手術を実施します。

2 予約

診察日の昼(12:00~16:00)に手術を行います。飼い主様と病院の日程を調整して、手術日を決定いたします。

3 手術日前日~病院来院前

  • 前日の夜9時以降は、何も食べさせないで下さい
  • 当日の朝9時以降は、お水も飲ませないで下さい
  • 前夜からは、あまり興奮させないように注意して下さい

麻酔中に吐くことがあります。この時、意識がないため吐いたものを呼吸と一緒に吸い込んでしまい、結果、肺炎や窒息死を招く恐れがあります。絶食絶水ができなかった時は、安全のため手術を延期します。

4 手術日当日~お迎え

  • 午前11時までにご来院下さい
  • お預かり中は連絡がつくようにして下さい
  • 17時~19時頃にお迎えにお越し下さい

午後から手術を実施します。(当日の状況により前後します)動物種や大きさによって変わりますが、手術時間は約20~45分です。
手術は、万全を期していても予想しないことが起こることがあります。状況により緊急連絡先にお電話する場合がございます。手術中は連絡がつくようにして頂きますよう、よろしくお願い致します。

5 傷口チェック

術後●日を目安に傷口チェックのためご来院いただきます。避妊・去勢手術は動物病院では最も実施件数の多いポピュラーな手術ではありますが、飼い主様と動物にとっては一生に一度の手術です。術後も問題がないかしっかりアフターフォローさせていただきます。ご不明な点やご不安な点があればお気軽にご相談ください。

手術の価格

  避妊手術 去勢手術
〜7kg 28,000円 19,000円
〜15kg 30,000円 20,000円
〜25kg 34,000円 22,000円
25,000円 17,000円
術前検査項目 検査内容 A基本 B C D
血液検査 血球検査 血液中の赤血球、白血球、血小板などの量を測定し、貧血や脱水が無いかなど、全身状態を調べます。
生化学検査 腎機能、肝機能、血糖値、血漿蛋白を調べ、内臓機能に問題が無いか調べます。
血液ガス 血液中の酸素・二酸化炭素の濃度やpH、イオンなど、肺機能の状態を調べます。    
凝固機能検査 血液の止血機能が問題ないか調べます。    
価格 5,000円 6,000円 7,800円 8,800円

避妊去勢手術の場合Aが基本です。
※年齢、手術内容、疾患の重症度によって血液ガス、凝固機能検査、などの追加検査を行うことがあります。
※年齢や既往歴などによって他の検査をおススメすることもございます。
※より安全な施術のために解析心電図をお薦めしています:解析心電図 1,000円

避妊・去勢手術のよくある疑問

なぜ去勢手術・不妊手術が必要なの?

動物自身の健康とQOL(Quality of Life=生活の質)を向上させ、家族の一員として人間社会の中で長く幸せに暮らすためです。

「繁殖がしたいのにできない」というのは犬・猫にとって大きなストレスです。
その状態が続くと食欲不振になったり、神経質になってしまいます。
手術をすることによって精神的に安定しますし、生殖器関連の病気を予防することもできます。

不妊・去勢手術をするのはかわいそうだという飼い主様もいらっしゃいますが、将来的に繁殖を考えていないのであれば、早めに避妊・去勢手術をすることをおすすめします。

愛犬・愛猫の一生に関わることですので、家族で良く話し合ってみてください。

去勢手術とは?

去勢手術はどんな手術?
全身麻酔下で両側の精巣(睾丸)を摘出します。傷もたいへん小さく、およそ1週間後には通常の生活に戻れます。去勢手術を受けた動物は繁殖能力が無くなります。
去勢手術はどんな効果があるの?
生後6カ月の性成熟前に去勢手術を行えば、異性の動物や人間に対する性的行動(マウンティング)や、縄張りを維持するための行動(マーキング)はほとんどの場合なくなります。動物同士のけんかや攻撃性も大幅に減らせます。
繁殖できない環境下での性衝動は、動物にとってフラストレーションやストレスの原因となります。去勢手術によってこうした問題から解放され、人間とも家族として良い関係を築いていけることでしょう。
医学的には生殖器関連の病気(精巣腫瘍、前立腺肥大、前立腺炎、肛門周囲腺腫瘍、会陰ヘルニア、尾腺過形成など)の全ての予防に効果があります。

避妊手術とは?

避妊手術はどんな手術?
全身麻酔下で両側の卵巣と子宮を摘出します。卵巣だけを摘出すると、子宮内に炎症やガンが発生する可能性が生じるからです。傷もたいへん小さく、およそ2週間後に抜糸した後は、通常の生活に戻れます。不妊手術を受けた動物は繁殖能力が無くなります。
避妊手術はどんな効果があるの?

生後6カ月の性成熟前に避妊手術を行えば、異性の動物や人間に対する性的行動はほとんどなくなります。
発情期特有の神経質な状態や鳴き声、発情に伴う出血などがなくなるため、飼い主様自身の生活する上でのメリットもあります。
医学的には生殖器関連の病気(子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳腺腫瘍など)を予防することができます。

避妊手術による犬の乳腺腫瘍発生率

不妊手術の時期 乳腺腫瘍発生率
最初の発情前 0.05%
初回発情 10%
2回目~8回目発情 1回発情ごとに発生率が高くなる

※2.5歳以降 悪性腫瘍に対しては予防効果なし

避妊手術による猫の乳腺腫瘍予防効果

避妊手術の時期 乳腺腫瘍予防効果
~生後6ヶ月齢 91%
7~12ヶ月齢 86%
13~24ヶ月齢 11%

※猫の乳腺腫瘍は高確率で悪性の場合が多い

去勢手術・不妊手術のデメリットは?

避妊や去勢によって、太りやすくなることがあります。若い時(生後半年頃)の避妊・去勢手術であれば太ることが少ないですが、年齢を重ねてからの手術は太りやすい傾向にあります。

特に太りやすい体質の動物は、体重が3割増しになる場合もあります。日常の食事や運動量に目を配り、体重の増加に気をつけてください。

性格が変わることを心配されるかもしれませんが、その子本来の性質が変化することはありません。子供っぽさが残る、人懐っこさが残ることが多いです。また、攻撃的な行動が減るため、温和になったと感じることはあるでしょう。

全身麻酔下での手術のため、麻酔リスクは少なからずあります。ただし、術前検査をしっかりと行い、細心の注意を払って手術を行っております。また術後管理も複数スタッフ管理の下、行っておりますのでご安心ください。

去勢手術・避妊手術の医学的な効果はデメリットをはるかに上回ります。不安なことは何でもご相談ください。

避妊・去勢手術についてのお問い合わせは下記まで。079-562-3612まで