今回は日本ヒルズ・コルゲート株式会社 奥田展子先生より皮膚ケア用の療法食として新発売された『オールスキンバリア』についてご講演頂きました。
診療で目にする皮膚疾患として、細菌・真菌感染、ノミ・ダニなどの外部寄生虫感染、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。この中で食物アレルギーや環境アレルギーによる皮膚疾患においては、原因物質の特定のためにアレルギー検査をしたり、除去食試験の反応をみたりと個々のワンちゃんに合わせた療法食の選択に時間と費用がかかっていました。「オールスキンバリア」は、皮膚・被毛のケアをしながら、環境・食物アレルギーにも対応できる新たなフードの選択肢として期待されます。今回はオールスキンバリアの主な特徴を紹介します。
1つ目の特徴は、健康な皮膚を維持するために必要な栄養素が豊富に含まれていることです。皮膚のバリア機能の維持や役立つ必須脂肪酸(ω-3脂肪酸・ω-6脂肪酸)、ビタミンAや亜鉛などに加えて、抗酸化成分・ポリフェノール・卵を組み合わせた独自の栄養ブレンド"ヒスタガード"を含有しており、皮膚・被毛のための栄養素がたっぷり含まれています。
2つ目の特徴は、単一の動物性タンパク質として鶏卵を使用していることです。鶏卵は必須アミノ酸のバランスが良く、生物価が高い良質なタンパク質の摂取ができます。また、食物アレルギーの原因抗原として卵は稀であるため、より多くのワンちゃんに対応できます。
これまで「オールスキンバリア」を試したワンちゃんでは、引っ掻き行動が減少し、睡眠の質の向上や便スコアが良くなったという報告もあるそうです。
ただし、オールスキンバリアは既に卵アレルギーと分かっているワンちゃんにはおすすめされません。また、脂質が高いため膵炎の既往歴があるワンちゃんには推奨されませんが、あらゆる皮膚疾患でお悩みのワンちゃんに対応できる療法食の選択肢として期待されます。ご興味のある方はぜひ獣医師までご相談いただければと思います。
D.N
冬場は喉が渇きにくくなるため飲水量が減少してしまいます。飲水量が減少すると尿も濃く少なくなるため、結石ができやすくなったり、膀胱炎を悪化させる恐れが出てきます。こういったおしっこの病気のリスクを下げるためには、十分な量の水分を摂取させ、尿を薄くしてあげる必要があります。具体的には次の6つの方法が効果的です。
・ウェットフードに変える
・常に新鮮な水を与える
・愛猫が飲みたくなるようなボウルを選ぶ
・水飲み場の数を増やす
・流れる水飲み場を作る
・水に味をつける
もともとイエネコの祖先でもあるリビアヤマネコは獲物から水分を摂取していたため、「食事の水分を増やす」のがもっとも手っ取り早い方法です。ある研究によるとウェットフードを与えると尿比重が下がり(尿が薄くなり)、尿量が増えることが分かっています。また、猫が問題なく食べてくれる場合には、ドライフードに水を入れてふやかして与える方法でもいいでしょう。
常に新鮮な水を与えることも大切です。私たち人間もずっと放置されたコップの水を飲むのはちょっと嫌ですよね。少なくとも朝・夕の1日2回は水を好感してあげるのがいいでしょう。多くの猫ちゃんは冷たい水を嫌うので、水を交換するときは常温のお水、もしくはぬるま湯を入れてあげてください。特に冬場は注意が必要です。
水入れの数を増やすことも大切です。多くの人がフードの隣にお水を置いているのではないでしょうか?猫は本来、食事と水は別々に摂る動物でした。というのも、狩りが成功し、食事にありついたときに必ずしも近くに飲み水があるとは限らなかったのです。中には水にフードのにおいが移るのを嫌がる猫ちゃんもいます。フードのそば以外にも何か所か追加で水飲み場を増やしてあげましょう。寝室など人の出入りが少ない静かな落ち着いた場所や猫がリラックスできる場所がおすすめです。逆ににぎやかな場所や猫用トイレの近くは避けましょう。
蛇口などから流れる水が好きな場合は、流れる自動給水器を導入するのもいいかもしれません。とはいっても、実際に流れのある自動給水器が飲水量を増やすのかどうか調べた研究を見てみると、猫の好みによる影響が非常に大きくどの猫でも飲水量を増やすことは難しかったようです。こればかりは試してみるしかありませんが、水飲みのバリエーションを増やすという意味で導入しても悪いことはないでしょう。ただし掃除をさぼるとカビやぬめりが発生し、不衛生なので注意が必要です。また、食器台や脚付きのボウルを使って水を飲みやすい高さにしてあげたり、ちゅーるを溶いて味付きのスープを作ってあげるのもおすすめですよ。
自宅で飲水したくなるような環境を整え、病気の予防を心がけましょう。
Y.N