南が丘動物通信

ワンちゃんの胃炎・胃潰瘍 21年05月25日

 現代のストレス社会においては毎日胃の痛むような出来事が起きており、人はストレスなどの精神的な負担により胃炎や胃潰瘍になります。一方ワンちゃんはどうなのでしょうか?そもそも何がワンちゃんにとってのストレスなのかは難しいところではありますが、あまり精神的な要因で胃の病気を呈することは多くないようです。食欲不振や嘔吐を起こすような重度な胃炎・胃潰瘍はあまり多くなく、以下に並べる要因がきっかけになることがほとんどです。

・薬剤

 原因として最も多いのは薬剤を投与することによって発生するものです。原因薬剤としては一般的なのは非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)で、人でよく用いられるイブプロフェンやインドメタシンは特に危険です。またデキサメタゾンなどのグルココルチコイドは特に大型犬では胃潰瘍リスクが高いと言われています。ですので人の痛み止めを動物さんに与えるのは絶対にやめてください。

・腫瘍

 人に比べると発生の少ない胃の腫瘍ですが、胃の腫瘍は悪性度の高いものが多く予後は不良です。また胃酸の分泌を刺激するヒスタミンを放出する肥満細胞腫という皮膚に発生する腫瘍も胃潰瘍の原因になります。

・感染

 人でもピロリ菌として有名なヘリコバクター属の細菌が原因となって胃炎や胃潰瘍を起こすことがワンちゃんでもあります。胃の中は強い酸性環境なので細菌は生息できないと考えられていましたが、実は多くの細菌が胃の中にいます。ヘリコバクター菌の証明はまだ難しく、内視鏡検査が必要になりますが、除菌により症状が改善することが報告されているので抗菌薬治療がすすめられます。

上記のものが有名な胃炎・胃潰瘍の原因になりますが、冒頭でも述べたようにあまり胃の疾患は一般的ではありません。嘔吐や食欲不振を呈する病気は他にもたくさんありますので、それらを適切に鑑別することが大事と考えています。

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T.S.

犬の胆嚢粘液嚢腫 21年05月23日

胆嚢粘液嚢腫の犬が紹介症例として来院されました。粘液嚢腫とは胆汁が本来液状であるべきものが固くゼリー状になり十二指腸に排泄できなくなる病気です。黄疸の値が高くなっており、エコーで胆嚢から総胆管にかけて拡張しているのが確認されました。CTでは総胆管に胆石や腫瘍、膵炎などの異常は認められず手術となりました。胆嚢を肝臓から剥離し、切開すると胆汁は硬いゼリー状になっており内容成分を取り出したあと洗浄、十二指腸に通過を確認したあと胆嚢を摘出しました。近年、胆嚢粘液嚢腫は犬で多発するようになっておりすぐ命に係わる症例が多いので注意が必要です。経過良好で回復してきてくれています。

S.S

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猫用全自動トイレ 21年05月20日

お家時間が増えたことで気になることの1つ

ご自宅で猫を飼われている方はよくお分かりだと思いますが、ネコのトイレは意外と臭います。コロナ禍でお家時間が増えて余計に気になります。

筆者も昔飼っていた際はとても気になっていました。用を足すたびに掃除をしないと部屋中に匂いが充満し、鼻が慣れてしまうことも。急な来客で慌てて掃除し消臭しという経験もありました。

最近のブームなのか、ネコのトイレもハイテクになりました。全自動で猫砂を取り除いてくれてさらには消臭も兼ねているという。さらにはどれくらいの排尿量でトイレ滞在時間も測定できるとかなり画期的な機能もついていて、ネコに多い泌尿器系疾患の早期発見にもつながるという。余裕があれば買いたいです。

H.F

高齢猫(老猫)のトイレ ストレスなく使え、ケアも考えて | 犬・猫との幸せな暮らしのためのペット情報サイト「sippo」

分裂発情 21年05月15日

不妊の原因にはいろいろありますがわんちゃんには分裂発情という症状があります。このとき陰部の腫大や出血、雄の許容などの発情前期と同じ様子を示します。卵胞の発育やエストロゲンの上昇も確認されるのですが、排卵はおこらず卵胞は閉鎖してしまいます。排卵は起こりませんので受胎することもありません。この時に2-10週ほどで再度発情がきて正常に排卵にいたれば受胎が可能です。一方で繰り返し過ぎる場合には排卵障害を疑う必要があります。

当院では発情兆候の稟告からホルモン検査で排卵日を予測していますが、時折プロゲステロンの上昇のないまま発情兆候が落ち着いていくような症例を見かけます。分裂発情は現状内在疾患が伴わないとされており、次の発情兆候が来るのを待つことになります。検査の回数もかさみ、すっきりしない問題ですが忍耐強くみていきましょう。K.Y

若齢の猫の膝蓋骨の病気 21年05月10日

高齢の猫では関節炎が多いことはよく知られていますが、若い猫にもあることはご存知でしょうか。

一つ目は犬では言わずとも知れた膝蓋骨脱臼ですが、猫でも基本的には同じです。

ただ犬と比べて発症は少し遅めで3歳での報告が多いようです。

股関節形成不全を併発している場合があり、重度の場合は前十字靭帯断裂を引き起こします。

治療方法は犬と同様に手術で良好な経過が得られてくれるようです。

二つ目は膝蓋骨の疲労骨折になります。

こちらは膝蓋骨脱臼よりも早めの2歳未満での発症します。

また、半年齢を過ぎても乳歯が抜けないあるいは永久歯がない。というような猫ちゃんで発症することが多いことが知られており、なかなか興味深い疾患です。

ただ、病的な骨折であるため外科治療も難しく、さらに膝蓋骨から始まり座骨や恥骨、大腿骨や上腕骨などにも症状がでる厄介な病気です。

膝蓋骨に対して基本的には保存療法での経過を見ていきながら付き合っていく病気になります。

中々レアな病気ではありますがこんな病気もありますので是非心に留めておいてもらえばと思います。

S.A

猫ちゃんの健康診断に心臓のエコーはいかがですか? 21年05月10日

猫の心筋症、特に肥大型心筋症は14%、若齢から恒例まで実に7匹に1匹と多くの猫が罹患していることが報告されています。

メインクーンとラグドールには遺伝子変異も発見されています。

しかしながら検出率としては12%以下とすごく低いことが知られています。

というのも、重度の心筋症でも心雑音が聞こえる確率は50%ほどで、症状が出てから発見する場合も少なくありません。

重篤な症状としてはうっ血性心不全、つまり肺水腫・胸水・腹水がたまってしまった状態や、血栓塞栓症があげられます。

このうち血栓症は心筋症の猫の10%で引き起こされる症状で、激痛を伴う後肢の麻痺が多く認められます。

さらに一度起きてしまった猫での再発のリスクは血栓症を発症していない猫の30~80倍にもなると報告されているため、予防が重要な病気であることが

もし未然に発見し、薬でのコントロールができれば寿命はぐんと長くなることが期待できます。

検査としてはタイトルの通り心臓エコー検査になりますので、麻酔などのリスクもなく行えることがメリットです。

年に1回のワクチンの際にでもぜひ検討していただければと思います。

S.A

攻撃行動について 21年05月08日

今回はワンちゃんの攻撃行動についてお話ししていこうと思います。まず、初めに述べておきたいのが、犬の攻撃行動の多くは身体的、精神的な異常によるものもありますが、その多くが、"自分の身を守るための正常行動"であるということです。

ワンちゃんに攻撃行動が見られる時は、何かしらの攻撃行動に対するきっかけがあります。例えば自分の生活スペースを脅かされたくない、自分のご飯を取られたくない、触られるのが怖い、遊びに関連した攻撃行動(子犬)など原因は様々です。つまり、攻撃行動が起こるには、"そのきっかけとなる動機付け"があり、そのきっかけをつくる"対象"がいることで成立するということになります。とどのつまり、飼い主の行動がきっかけを作り、それが誘因になって攻撃行動を成立させていることが多いということです。ですので、まずはどういう時に、何をしたら怒るのか?を正しく分析することが大事になってきます。その前後の様子を動画におさめて相談しにきていただくと診断の手掛かりになります。

もちろん、神経学的な異常、神経内分泌的な異常、代謝性疾患、感覚器異常、腫瘍、炎症、感染症、中毒などの"身体的な異常"が原因になっていることもあるので、必ず事前に血液検査や糞便検査は必要になってきます。

治療について述べていきます。

たまに大人しくなる薬や鎮静剤はないの?という質問を受けることがあります。ここでいう"抗うつ薬"を使うこともありますが、メインではなく、あくまで補助的に恐怖や不安を抑制するものであり、根本的な解決にはならないので無闇に使うものではありません。

メインは

①攻撃行動させないようにする(ケージの中で生活させる、不用意に撫でたりしないなど)②誘因になる刺激と状況の排除(環境整備)

③系統的脱感作療法、拮抗条件付けなどの行動修正法

④飼い主様とワンちゃんの信頼関係構築のトレーニング

これらを組み合わせながら時間をかけて改善していく流れになります。

しっかりと原因を突き止めて、治療暑いはワンちゃんの気持ちを汲み取って、ご家族の皆様とワンちゃんとの間の信頼関係を構築することができればお互い快適な生活を送ることができますので、お困りの方が一度相談してみてください。

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