南が丘動物通信

心臓病で日常生活で気をつけることはありますか?? 20年11月25日

動物病院において心臓病で最も遭遇する機会が多いのはワンちゃんの僧帽弁閉鎖不全症で、これはチワワ、マルチーズ、シーズーなどの小型犬の中高齢でよく見られます。心臓病ということでご家族の多くは不安に感じられるのか、日常生活において制限したほうがいいこと、またなにか注意しなければならないことがあるのでしょうか?とよく質問されるので、整理していこうと思います。

・運動  

 最もよく聞かれるのが「お散歩をやめたほうがいいのか?」ということです。心臓がどのくらい悪いのかで話が変わってきます。お薬を飲む必要がないあるいは少量しか服用していない軽度な子では運動制限はほぼ必要ないと考えますが、一度肺水腫になってしまったり不整脈が頻発している子では厳格な安静が求められます。しかしワンちゃんとご家族にとっての散歩が日々の暮らしの中で大きな楽しみなっている場合は、できるだけ短時間で走らないように、そして日中の暑い時間を避けるようにしましょう、というのが実際的と考えています。

・食事

 ヒトでも同様に塩分の多い食事、つまり高ナトリウム食は心臓病の増悪因子となっています。しかしワンちゃんのフードはもともと塩分は多くないのでシニア用のフードで必要十分を満たしてくれるでしょう。なにより人の食べ物を与えないことが一番大事です。重度な心不全の子ではナトリウム制限食が推奨されます。

・肥満

 太ると血圧が上昇したり呼吸数が増加したり心臓の働きを悪くするために、肥満はやはり増悪因子になります。しかし逆に痩せると心臓機能の低下を招くために気を付けなければなりません。何事も適度が良いということですね。

・ストレス

 なにがワンちゃんにとってストレスなのかは難しいところですが、生き物はストレスを受けるとカテコラミンという物質が分泌され血圧が上昇して心臓の負担が増えます。そのために過度な緊張やストレスは避けたいところですが、たとえば日常的に行っていること(シャンプーやトリミングなど)は相談しながらできると考えています。

 心臓病は他にも気管の病気や腎臓病などを伴うこともあり、また高齢の子が多く他の病気と合併することも多々あります。また上でも述べたようにその子の状態によってアドバイスする内容がケースバイケースなので、気になる場合は遠慮なく診察時にお尋ねください。

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T.S.

猫と狩り 20年11月20日

猫の飼育頭数はここ数年で急増しています。有名な動画配信サービスでも「猫、可愛い、癒し」と検索すると動画が山ほど見つかります。

そんな可愛い猫たちは健康上も公衆衛生上も室内飼育が推奨されていますが、まだ自由に野を駆け回っている飼い猫たちもいるのが実情。

ある飼い主さんの話、そんな外猫たちは時折ネズミなどの獲物をわざわざ見せに手元まで持ってくると言われます。狩りのできない飼い主さんへの教育でしょうか、はたまた母性本能による子猫(飼い主)への給餌の延長でしょうか。理由は諸説あります。

狩りをするのは本能によるものであり、たとえ空腹であったとしても狩りを行います。ある報告では4週間で400頭も狩ったとあります。

夜行性のため夜に狩りをするとも言われていますが、実際には捕食対象動物の活動時間によって狩りの時間帯は変わります。

屋外で本能のまま狩りを行うのも良いですが、悲惨な事故も多いです。

屋内での飼育をお勧めします。

H.F

犬の涙やけについて 20年11月02日

ご自宅のワンちゃんの目の周りが涙で汚れている、いわゆる「涙やけ」で困っている方も多いと思います。これは涙が過剰に目の周りの被毛に流れ出ることに起因します。今回は涙やけについて少しお話しさせていただきます

涙は通常、涙腺及び瞬膜線から分泌されて目の表面に分布します。その後涙点と呼ばれる目頭の上下にある涙の排出口に引き込まれ、涙小菅→涙嚢→鼻涙管を経由して鼻腔内に排出されます。このような過程のいずれかで、異常が起こることによって目の外に涙が流れ出てしまい、赤茶色に変化した場合に涙焼けと言われますよね、これはあくまで俗語であり、正式には流涙症と呼ばれます。

流涙症の原因は

①涙の産生が過剰になっている

②涙を排出する経路において異常が起こっている

③涙を目の表面に保持することができてない

と、大きく分けて3つの原因が挙げられます。流涙はぶどう膜炎、緑内障、角膜疾患などでも起こるので、まずこれらの疾患を除外した上で考えます。これらの疾患は眼痛を伴うことが多いです。

①の涙液産生過剰で考えないといけないのは、眼の表面への持続的な刺激が加わり続けていることによって涙液が産生され続けているということです。この場合睫毛疾患であることが多く、睫毛乱生、睫毛重生、異所性睫毛などの睫毛の先天的な異常による眼表面の刺激が起こっています。放置しておくと、角膜、結膜への刺激が重なり、結膜炎や角膜混濁、角膜潰瘍を引き起こす可能性があるので早めに治療する必要があります。

②は、上述した涙の排泄経路のいずれかで異常が起こることです。涙点閉鎖症、小涙点症、涙嚢炎、鼻涙管閉塞が挙げられます。これらの場合、全身麻酔下で涙点形成や、流嚢洗浄、鼻涙管洗浄を行い、その後点眼治療をする必要があります。子犬さんは、まだその排泄経路が未発達で、産生されている涙の量に処理能力が追いついていない場合もあります。この場合成長とともに治ることはありますが、あまりにひどいと皮膚がただれたり、目の感染リスクになるので、早めに治療することをお勧めします。

③は、涙液の成分の問題となります。というのも、涙には油分が含まれていて、涙の蒸散を防ぐ役割、涙を目の表面に保持する役割を担っています。油分の分泌にはマイボーム腺、ツァイス腺、モル腺が関与しているのですが、これらの腺の機能不全によって油分がなくなってしまうと目の表面に涙を保持する能力が低下→目の下に涙が溜まってしまい、そこで保持できる涙量が限界を迎え、皮膚表面に流れ出るといった流れです。他にも被毛が目に接していて、涙が被毛を伝って流れ出ているのが原因だったという例もあります。腺の機能不全は眼瞼を蒸しタオルで温める(ワンちゃんが火傷しない程度の温度で)ことによって腺内で固まってしまった油を融解させて分泌を促す、人用の市販のお薬もあります。また、腺の開口部を綿棒で掃除してやることで分泌を促すことができることもあるのですが、これは目を傷つけてしまうリスクが高いので動物病院にて相談してください。

中には、食事を変更したら治ったという報告も多々ありますが、これについてはアレルギーの関与や食事中に含まれる脂質成分の問題など等の説が提唱されていますが、これについてはまだ研究段階だそうです。

涙焼けは美容的な問題だけでなく、放置しておけばひどいものになると皮膚炎の原因になったりします。このように原因は様々ですので、まずは動物病院で相談してみて早いうちに

詳しく調べることをおすすめします。

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R.I