南が丘動物通信

門脈体循環シャントの手術 20年10月26日

2歳雑種の女の子のワンちゃんで、とくに典型的な症状はなにもなく、避妊手術のための血液検査にて異状が認められご紹介いただいた症例でした。造影CTで、左胃大網静脈を介した門脈ー奇静脈シャントが証明されました。開腹手術中の仮遮断前の門脈造影検査にて門脈枝が確認されGradeⅠに分類されました。幸いなことに完全結紮にて門脈圧も上がらずに手術は終了できました。術後痙攣もなく術後の肝機能検査もすべて良好になりました。CT撮影により確定診断が術前につくようになり、結紮前の門脈造影にてGrade分けができ、門脈圧を計測しながら結紮を行い、術後痙攣をおこさないよう予防的抗痙攣剤の投与をすることにより、以前に比べ非常に門脈体循環シャントの手術の成功率はひじょうに高くなったように思います。手術が怖いから、症状がないからということで手術をためらっておられる方もおられますが是非手術をご検討いただくことをお勧めいたします。写真:C-ARMにより確認した門脈枝です。  S.S

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内服薬の副作用がでた甲状腺機能亢進症の猫ちゃんの手術 20年10月20日

今回の猫ちゃんは13歳10ヵ月の避妊済みのメス猫ちゃんです。副作用のため血液の白血球がすくなくなり抗甲状腺薬(飲み薬)も使えなくなりました。白血球が少なくなると人間では発熱、全身倦怠感、咽頭痛などが起きると言われています。免疫がおさえられることによる弊害が起きてくるようです。内服量を少なくしましたが残念ながらダメでした。いつもは甲状腺の値を十分抑えたのち手術をするのですが、すこし高い値のまま思い切って手術を行うこととしました。CT検査では左側だけの肥大で悪性の疑いも低く、右側は小さめで、異所性甲状腺も認めず左側甲状腺摘出手術を行いました。上皮小体の温存状態も良好だと思われます。1週間後の検査ではT4は若干低めでありますが良好でまったく治療の必要がなくなりました。反対側の甲状腺が機能亢進症を起こす可能性は残されているものの現段階では内服や検査から解放され高血圧慢性腎不全の進行も抑えることができました。内服薬の副作用のおきる猫ちゃんではそのまま様子を見ておられる方も多いようですが多くの猫ちゃんが短命で終わります。思い切って手術することをお勧めいたします。S.S

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猫の便秘について 20年10月15日

便秘とは、排便回数が低下したり、宿便が長期間停滞し、しぶりを伴う排便困難が認められることを言います。犬にはほとんど便秘はないとされていますが、猫はいろいろな要因から便秘を起こすことがあります。猫の便秘は、器質的便秘もしくは機能的便秘の2種類にわけられます。器質的便秘とは、身体の構造の異常によって便の通過が妨げられることによって発生し、そのほとんどは骨盤狭窄によるものとされていますが、稀に消化管内や骨盤腔内の腫瘍による通過障害なども存在します。機能的便秘には、神経異常や消化管の運動性の低下によるものの他、排便を我慢しすぎたことによって直腸襞の刺激に対する感受性が低下することによるものがあります。秘はその期間が長ければ長いほど、宿便への水分の再吸収が起こる為、さらに排出しづらくなります。ひどくなれば、嘔吐や食欲不振といった消化器症状が認められることもあり、全身状態の悪化にもつながります。治療方法は、直接溜まった宿便を肛門から排出する用手排便、浣腸がメインとなります。それらの処置後、再発防止のために、便を柔らかくするお薬を使用します。骨盤狭窄による器質的便秘の場合には外科手術が適用となることもあります。S.K

脂肪酸のすすめ 20年10月04日

 必須脂肪酸と呼ばれる、体内で合成できない、食事などから接種しないといけない脂肪酸は、私たち人間でもその有用性が多く報告されていますね。

たとえばアルファリノレン酸の含まれるエゴマ油・シソ油、魚介類に含まれるDHAなどは有名ですね!

必須脂肪酸の中でも、とくにn-3系と呼ばれる脂肪酸は、

①炎症を抑える効果

②血流の改善

が知られており、関節炎の症例などでもよくサプリメントを使用して、実感として良好な反応を得られています。

 また、他に皮膚・被毛 心血管 腎臓 神経・認知機能の健康維持を目的に脂肪酸のサプリメントは効果が報告されています。

 先日、皮膚科学会の方でも脂肪酸の皮膚疾患における有用性の発表が行われましたが、

犬アトピー性皮膚炎や、猫の外傷性脱毛(食餌性や心因性のストレスなどいろいろな原因によって猫が自ら皮膚を舐めることで発生する脱毛症)、皮膚に限局する免疫疾患であある円盤状エリテマトーデスなどでも、脂肪酸投与で有効な反応が認められたようです。

 もちろん、皮膚の炎症を抑えるときのステロイドの投薬や、感染があった際の抗生剤の投与、免疫介在性疾患における免疫抑制剤などが必要な場合は一緒に行うべきで、サプリメントはあくまでも単剤で効果があるというものではなく、治療の補助を行うものではあります。

 しかし、脂肪酸のサプリメントという、ほとんど副作用の認められないもので、さらに皮膚の状態が改善するのであれば、積極的におすすめしたいですね。

 脂肪酸の摂取に関しては、脂肪酸を含むフードへの変更という手段もありますが、脂肪酸は酸化により劣化しやすいという特徴があるため、なかなかフードの管理が難しい部分があります。その点においては脂肪酸のサプリメントの方が、カプセルの中に入っているので、劣化で効果が弱まることは心配しなくてもいいですね。

 また、カプセルが飲めない子でも、中身だけ穴をあけて飲ませることもできるので、その点については心配いりません。

いまの治療に合わせて、脂肪酸を追加で与えてみたい方、通常は、効果が出るまで1月~などある程度の期間を飲ませていただきたいですが、まず試してみたい方は一粒からでも購入できますので、ぜひぜひご相談してくださいね。

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M.K