南が丘動物通信

歯が折れている? 20年03月20日

 ワンちゃん、猫ちゃんの歯は簡単に破折(歯が折れること)します。気付かれず見過ごされ、症状が悪化してから改めて口腔内を確認し破折の存在を知るということも少なくありません。 破折は気付かれずに放置されれば歯髄炎や歯髄壊死をひきおこすこともあります。しかし初期の段階で発見されれば歯の保存が可能であることが多く日常の口腔内のチェックによる早期発見が重要です。

 破折では露髄が認められるかどうかは重要な観察すべき点で肉眼的な判断が容易なこともあれば咬耗や摩耗などにより露髄の判断が難しい場合や歯石の沈着により露髄の有無の判断が困難になっていることも多いです。このような場合は麻酔下での判断が必要になります。

 破折により露髄を引き起こすと口腔内に歯髄が露出し、常に口腔内細菌にさらされることになります。場合によっては激しい痛みを伴うため露髄があればなるべく早めの治療が推奨されます。

 人の破折の原因は転倒落下やスポーツ交通事故などの事故がほとんどであるのに対し犬の破折の原因はわかっているもののうち 9 割以上が 『硬いものを咬んだ』ことによるものです。硬いものとしては ひづめガム(デンタルガムを含む)おもちゃケージ石などがあげられます。 ひづめは犬に与えるおもちゃとして普通に販売されておりさらに「乳歯の生えかわりを助ける 」や 「 歯石除去の為のデンタルケア用品として 」 などと謳われて販売されていることも多いです。しかし、実際は歯の破折の主な原因になっていることも多いです。またガムについてもデンタルガム(噛むことで歯垢歯石を機械的に除去する目的で作られたガム) が原因の多くを占め飼い主が歯石蓄積予防を目的として与えた ひづめや ガムが逆に歯の破折をひきおこしてしまう可能性も十分に考えられます。

 現在さまざまな種類のデンタルガムが販売されていますが、比較的硬めの弾力性の無いガムを噛むことで破折することが多いです。さらにデンタルガムの中には犬の体重別にサイズ・硬さが考慮されている製品もあり、その個体相応の大きさや硬さ、柔軟性のあるガムを与えることが破折を防ぐことにつながります。 またケージを噛む癖がある犬では 16 症例中 14 症例が犬歯の破折を引き起こしており、ケージバイトの癖がある犬では犬歯を注意深く観察する必要があります。

K.G

凍結精液の人工授精に利用する黄体ホルモン測定。 20年03月15日

現在、犬の凍結精液による人工授精を行っております。メリットは①遠方のオスであっても交配可能②優秀なオスの遺伝子を残すことができる。③すでに亡くなっている雄であっても授精可能④ブルセラ等の性病にかかる心配がない⑤交配をいやがるメスでも可能。デメリットは①フレッシュな精子にくらべ排卵の日にちをきっちりとあわせなければ子供ができにくい②内視鏡による特殊な人工授精や手術による人工授精が必要③妊娠の確率は少し低下する。などがあげられます。そのため正確な排卵日のチェックが必要になります。膣スメア検査ではしっかりとした日にちの把握はできません。黄体ホルモン(プロゲステロン)は、検査機器によりかなり誤差がでるため選定が必要だと感じています。最近、他の機器を使用したものの経験が増えておりますが、現段階ではバイダス・ミニだけが世界的にみても今までの実績と証拠に基づいて安心して使用できる検査機器であると考えておりお勧めできるものです。気になる方はお問い合わせください。獣医師からのお問い合わせも可能です。

S.S

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猫の甲状腺機能亢進症の手術でめずらしい形態のものがありました。 20年03月13日

令和2年になり今年も甲状腺機能亢進症の猫ちゃん達の手術をさせていただいています。東大阪市、神戸市、京都市、福井県、香川県といろいろなところから手術でご来院いただいております。今回は少しおもしろい形態をもった甲状腺の手術をいたしました。甲状腺は4つに分裂し、頭側より1つ目と2つ目の間に上皮小体がありました。被膜ともに上皮小体の栄養血管を保存いたしました。分裂したタイプの甲状腺は今回で2例目です。獣医師向けの専門雑誌に手術法を掲載する依頼をいただいております。病気に苦しむ猫ちゃん達のために、甲状腺機能亢進症の外科治療を広めていきたいと思っています。

S.S

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進化した多血小板血漿療法(PRP) 20年03月10日

多血小板血漿とは濃い濃度の血小板を含む血漿のことで、高い組織再生能力を持つことから組織再生を目的に使用されます。最近ではエンゼルスの大谷翔平選手が肘のケガの際に使用したことで話題になりました。当院では以前からこのPRP療法を種々の治療に使用しておりましたが、新製品のPRPキットの発売により、進化したPRPを用いることができるようになりました。

 血小板は種々の成長因子を含有しています。代表的なものはVEGF(血管内皮細胞増殖因子)TGF-β(トランスフォーミング成長因子β)IGF(インスリン様成長因子)などです。採取した静脈血を遠心分離した後に、バフィーコート(白血球・血小板を含む層)を回収することでLR-PRP(Leucocyte rich PRP)を得ることができます。これを活性化し、徐放剤と組み合わせることで長時間作用させることができるようになりました。手技は今までのPRPに比べるとやや煩雑で時間もかかりますが、その分より高い効果を得られるようです。

 これまで以上に期待されるPRPは難治性の創傷治療、角膜潰瘍、骨折治療などに応用出来たらと思っております。

T.S.