南が丘動物通信

身の回りの中毒物質をしっかり知っておきましょう 20年09月06日

 私たちの身近にある食べ物や生活用品の中にはワンちゃんネコちゃんにとっては有害なものになってしまうものがあります。今回は我々の身近にあるもので、ご家族の皆様にぜひ知っておいて欲しい危険な有害物質をいくつかピックアップして紹介します。


・チョコレート中毒
ご存知の方も多いと思いますが、チョコレートは動物たちにとって有害であります。チョコレートに含まれるメチルキサンチンと呼ばれるカフェイン、テオブロミンが原因物質です。その症状の出やすさは、このメチルキサンチン含有量に依存しており、ココアパウダー>>>ダークチョコレート>ミルクチョコレート>>ホワイトチョコレートの順で含有量が多いです。主な症状は摂取後1〜6時間後に発現し、落ち着きがなくなる、嘔吐や下痢、震え、痙攣発作、不整脈が見られ、最悪の場合死に至るケースも少なくありません。

・タマネギ中毒(ネギ類のニラやニンニクも含みます)。
こちらもペットに対する中毒物質で有名ですね。ネギ属に含まれる有機硫化物による赤血球のヘモグロビンを酸化するということに起因して結果的に赤血球が破壊されていくという怖い中毒です。タマネギ中毒は犬で15〜30g /体重kg 猫で5g /体重kg摂取すると中毒が出ると報告されており、ごく少量なら問題ありませんが一度に多くの量を摂取したり、少量でも継続して摂取すると中毒症状が発現します。また、誤解しないでいただきたいのが"原因物質の有機硫化物は加熱処理をしても毒性は消えない"という事です。すき焼きの残り汁をいつものご飯にかけて、犬や猫に与えたところ中毒症状が発現してしまったという事故もあります、注意してください。


・ブドウ・レーズン中毒(犬しか報告なし)
ブドウ中毒は知らない方は多いと思います。生のブドウ、干しブドウ、調理されたブドウどれでも中毒が起こり、生のブドウよりもレーズン(干しブドウ)の方が中毒症状示しやすいという報告があります。今のところ原因物質は特定されていません。気になる中毒量ですが1kgのブドウを食べても無症状だった犬がいる一方で、4,5粒のブドウを食べたら中毒症状が発現した犬もいるという報告があるので、一説では特異体質が原因なのではないかという考えも出てきています。中毒症状としては、摂取後24時間で嘔吐下痢などの消化器症状、48時間で急性腎不全を発症します。時には、予後不良となってしまうケースもあるので、食べたと思ったらすぐに動物病院を受診してください。

・ユリ中毒(猫)
ユリの花びらや葉、茎、花粉を少量でも摂取すると中毒症状が発現します。ヘメロカリス属の勿忘草も危険性を示唆されています。原因の中毒物質は特定されていませんが、水溶性が高く、腎臓の尿細管を傷害することで急性の腎不全を引き起こします。ユリ中毒は、摂取後どれだけ早期に対応できたかで予後は大きく左右されます。気づいたら迅速に動物病院を受診しましょう。


・キシリトール(キシリトールガム、歯磨き粉)、
大量摂取(0.1g /体重kg以上)によってインスリンが大量に放出されることによる低血糖状態と肝臓壊死が引き起こされます。低血糖症状は摂取後30分〜60分で引き起こされ、嘔吐や運動失調、さらに経過すると発作や痙攣を起こします。肝臓壊死によって血液凝固障害が二次的に起こることがあり、この場合必要に応じて輸血を行う必要があります。

・その他にもエチレングリコール(車の不凍液や一部の保冷剤、工業用の溶剤が代表例)タバコ、漂白剤(強アルカリ性なので消化管における炎症、皮膚や粘膜に付着すると腐食性の傷害)、防水スプレー(撥水成分、防水成分共に肺に障害を引き起こす事で呼吸障害)などたくさんの身の周りにあるものが犬猫にとって有害な"中毒物質"になってしまいます。

いずれの中毒疾患もいかに早期に対応(摂取後数時間までなら催吐処置、胃洗浄、除染できなければ輸液療法をできるだけ早く)するかどうかで予後は大きく左右されます。一番の対策は原因物を犬猫の手に届くところに置かないというものですが、もし摂取、曝露するような事故を確認した場合にはすぐに動物病院に連絡し受診されるようにしてくださいね。

R.I