南が丘動物通信

ASC School ながたの皮膚科塾 第4回 内分泌の関与する皮膚疾患 19年01月18日

人間と同じように高齢化したペット社会で、腫瘍の次によく見つかる病気として内分泌疾患があります。内分泌疾患とは、甲状腺、下垂体、副腎、卵巣、精巣といった内分泌腺の病気です。内分泌腺とは、「ホルモン」という生体内の恒常性の維持に関わる微量物質を合成・分泌している器官ですので、その異常は代謝に影響を与えてしまいます。

4回目となる皮膚科のセミナーでは、内分泌が関与する皮膚疾患について学んでまいりました。内分泌疾患によって代謝異常を起こしている動物には、体調や飲食、排せつなどの日常生活においてさまざまな変化が現れます。行動や性格が変わってしまう子もいるようです。皮膚においては主に脱毛が認められます。そういった変化は年と共に徐々に現れてくるため、「年だから・・・」と見過ごしてしまいがちですが、その裏では少しずつ内分泌疾患が進行している可能性があります。高齢の犬で最も多く見られる内分泌疾患は、「甲状腺機能低下症」です。対して、「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」は、それほど数は多くないものの、進行すれば死に至る病気です。避妊・去勢手術を済ませていない犬では、「性ホルモン異常」を起こす可能性が高くなります。これらの内分泌腺は、視床下部―下垂体前葉を通してフィードバックで繋がっているため、併発することもあります。いずれの内分泌疾患も、治療方法が存在します。愛犬の毛が年と共に薄くなってきたら、年齢のせいと決めつけてしまうことなく、ホルモンの検査をおすすめいたします。S.K