南が丘動物通信

心嚢水貯留 17年05月07日

 心膜は心臓や大血管を覆う袋状構造であり、心臓の動きを滑らかにするために心嚢水を含んでいます。心嚢水は様々な病気で過剰に貯留してしまうことがあり、それにより心臓を圧迫し、心臓機能が低下することを心タンポナーデといいます。

 心不全、ヘルニア、低アルブミン血症などでは漏出液、感染性では滲出液が貯留します。猫では伝染性腹膜炎ウイルスによるものもあります。しかし犬において最も多い原因は出血性で、右心房に発生する血管肉腫が一番みられます。他には短頭種では心基底部の大動脈体腫瘍、心膜の中皮腫も原因になります。特発性心膜出血はゴールデンレトリバーにみられます。

 運動不耐性、食欲不振、失神などを呈し、右心不全を伴えば腹水貯留も現れます。心エコー検査では容易に心嚢水貯留を診断することができます。

 心タンポナーデに陥った動物には心嚢穿刺を行い、過剰な心嚢水を抜去します。そしてその性状を検査して原因を推定し、それぞれの疾患について治療を検討します。心膜切除は特発性心嚢水貯留の治療法で、心タンポナーデの発生を防ぐことができます。胸骨正中切開後に、横隔神経より腹側の心膜を切除する心膜亜全摘術を行います。心膜開窓術は心臓腫瘍における緩和治療として行われます。

T.S.