南が丘動物通信

3月25日 葉月会消化器科セミナー 17年03月26日

栄養療法から考える消化器疾患のアプローチ

宮崎大学農学部附属動物病院 消化器外科・内科 鳥巣至道 教授

宮崎大学で獣医臨床栄養学を研究されている鳥巣先生のセミナーに参加しました。犬の肝臓疾患時には、体内のアミノ酸バランスが不均衡となり、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の低下と芳香族アミノ酸(AAA)の増加が起こり、結果的にタンパク質代謝の低下やアンモニア濃度の上昇により肝性脳症の悪化を招いてしまいます。また犬の炎症性腸疾患(IBD)では消化管粘膜に炎症細胞が浸潤し、腸絨毛の長さが短縮され、結果的に軟便が難治化する場合もあります。今回のセミナーでは、鳥巣先生が株式会社NSTと共同で開発したサプリメント「ヴェルキュア」を紹介いただきました。ヴェルキュアはBCAAが強化されており、また強力な抗炎症作用と腸粘膜の増殖作用を有する水溶性食物繊維も豊富に含まれております。肝臓疾患やIBDの問題に対して鳥巣先生が実際の症例において使用した手作り食のレシピやヴェルキュアを用いた栄養療法の内容を学ぶことができました。処方薬を用いた内科療法や手術による外科療法などが治療の全てではなく、患者のデータを基に食事の成分を調節し生体機能を維持する栄養療法の重要性を再認識できたセミナーでした。

H.B.