南が丘動物通信

犬ジステンパーウイルス感染症 16年08月07日

犬ジステンパーウイルスはパラミクソウイルス科モルビリウイルス属のウイルスであり、非常に伝染力が強く、イヌ科、イタチ科、アライグマ科の動物に感染します。

ウイルスは鼻汁、尿などすべての分泌物もしくは排泄物中に排泄され、飛沫または塵埃で感染し、体内に侵入したウイルスは扁桃や気管支リンパ節で増殖し、その後全身に蔓延します。

急性症状が現れるまでの期間はウイルス感染後1418日程度であり、まず69日後に一過性の発熱が見られます。その後二度目の発熱が起こり、鼻炎による粘液膿性鼻汁、結膜炎を伴う粘液膿性眼脂、元気消失、食欲不振などの症状が見られます。さらには咳、呼吸困難などの呼吸器症状、嘔吐、下痢などの消化器症状、痙攣発作、運動異常などの神経症状を伴うこともあります。また、ウイルス感染に伴う眼科異常として前ブドウ膜炎、脈絡網膜炎、視神経炎、角結膜炎なども起こりえます。その他にハードパッドと呼ばれる鼻鏡面や足蹠の角化亢進などの症状も見られます。

治療はウイルス自体に作用する薬は存在せず、対症療法が中心となります。免疫を強く抑制するため、二次性細菌感染症の予防として広域抗菌薬が使用されます。

犬ジステンパーウイルス感染症は感染した犬の死亡率は50%と言われています。ワクチンによる予防が有効とされているため、飼い主様にはやはり毎年のワクチン接種には忘れずに来ていただきたいと思っております。

D.T