南が丘動物通信

糞線虫症 16年06月05日

糞線虫は犬や猫の小腸粘膜に寄生し、主に下痢を起こす寄生虫です。糞線虫の感染経路は大きく3つあります。ひとつは糞便中に含まれる幼虫がなんらかの形で口に入ってしまうことによる経口感染、あるいは運動性を持つ幼虫が皮膚から潜り込んで直接体内に入る経皮、粘膜感染、また授乳期の母犬から子犬への経乳汁感染も見られます。このなかでも経乳汁感染による新生子犬、子猫の感染が大部分を占め、密飼いのブリーダーさんや保護シェルターからもらわれてきたワンちゃんネコちゃんでよく発見されます。糞線虫の寄生による主な症状は下痢ですが、皮膚から感染が起こった場合、血液を介して肺に移行するため感染から数日後に咳が認められることがあります。ですので初期症状として咳があり、数日経って下痢をし始めた子犬、子猫さんは要注意です。また糞線虫は人にも感染する恐れがあり、免疫力の弱っている高齢者や小児では重篤化することがあるため、糞線虫が発見された場合には駆虫に加えて環境の清浄化が必要となります。 Y.I