南が丘動物通信

中耳炎 16年03月27日

中耳炎は通常細菌感染を原因とした中耳の炎症を指し、犬のほとんどは外耳炎から波及していることに対して猫では耳管からの上行性感染でも起こりえます。症状としては外耳炎の症状に加えて、多量の滲出液、耳道の開口部周辺の乾燥した滲出物、開口時の疼痛などがみられ、神経症状である斜頸、運動失調、ホルネル症候群等が認められることもあります。

犬の中耳炎のほとんどは外耳炎から進行し、慢性外耳炎の50%以上で中耳炎も併発するという報告があります。このため中耳炎は外耳炎を伴うことが多く、臨床症状も外耳炎と類似します。このため、外耳炎が長期化した場合には中耳炎も疑っておくことが大事であり、またさらに中耳炎は内耳炎に波及することもあるので注意が必要である。波及といっても、細菌が直接内耳に感染を広げることもあれば、中耳で増殖した細菌のエンドトキシンが内耳に作用することもあります。

中耳炎の診断は臨床症状や耳鏡検査が大切ですが、重度な外耳炎では耳道がふさがっていることが多く、CT検査での評価が有効です。治療としては外耳炎の治療と並行して抗生剤投与による保存的な処置を行いますが、難しい場合には手術の適用になります。

中耳炎に移行しないためには外耳炎を慢性化させないことが大事になってきますので、耳を掻いていたり頭を振るような症状が見られた場合には一度ご来院ください。

S.A