南が丘動物通信

3月26,27日Improve International 小動物外科学GPCertプログラム 16年03月27日

モジュール9 尿路および生殖器の外科

モジュール10 胸部外科

Eric Monnet, DVM, PhD, FAHA, DACVS, DECVS

 今回は日常的によく遭遇する尿路外科についてと、あまり外科手術は日常的ではない胸部外科についての講義でした。 講師のEric Monnet先生はとても著名な方で、講義も無駄なところがなく整理されていて分かりやすかったです。

 前立腺の疾患はとても多く、良性前立腺過形成、前立腺嚢胞、前立腺膿瘍、前立腺腫瘍などがありますが、まずは各疾患の鑑別が必要です。犬の前立腺疾患ではほとんどの症例に血尿が見られ、教科書でよく記載されている便秘や排尿困難は腫瘍で多いとのことでした。直腸検査における各疾患の鑑別方法も勉強になりました。前立腺腫瘍の摘出は神経の温存などが難しく、90%の症例で尿失禁が術後に現れるとのことでしたが、前立腺腫瘍の患者さんは多いためにやはり手術が検討されます。

 胸部外科は手術症例がそれほど多くないために開腹手術に比べると知識が足りないために、今回の講義は開胸手術の基本から解説してくれたためにとても勉強になりました。開胸といってもいくつかの方法があり、肋間開胸術と胸骨正中切開のそれぞれの利点欠点を理解することが出来ました。また開胸術は痛みが大きいため、術中、術後の疼痛管理の方法も講義がありました。緊急疾患である肺葉捻転は大型犬とパグで多いのですが、これは連続してレントゲンを撮影すると徐々に肺が大きくなっていくのが分かるそうです。捻転した肺葉は捻転を整復せずにそのまま根元から摘出します。動脈管開存症は犬の心臓奇形の中では最も多いですが、この手術には血管の慎重な分離が必要になります。先日当院でも手術がありました。

軟部外科の講義は今回で終了し、5月には今回の内容の実習が行われます。しっかり復習して臨みたいと思います。

T.S.