南が丘動物通信

異常な呼吸様式の初期評価 15年05月24日

呼吸困難という言葉は呼吸数、呼吸調律、呼吸性状などから推測して呼吸が楽ではない状態を示す用語です。異常呼吸様式は閉塞性、拘束性、その他の3つのタイプに分けられます。
・閉塞性の呼吸様式は呼吸数の増加および呼吸深度の増幅が見られます。この呼吸様式は気道の閉塞(気管虚脱、炎症による気道内の液体による閉塞など)が認められる場合があります。
・拘束性の呼吸様式は呼吸数の増幅および呼吸深度の低下がみられます。これは肺の伸縮率が低下する疾患(肺炎など)ならびに呼吸振幅を低下させる疾患(肋骨骨折など)で観察されます。
・その他には①呼吸数の増加と呼吸振幅の増加が認められるが気道閉塞、肺の伸縮率に減退がないものと、②非呼吸器系(心臓性、代謝性、神経性、血液性)に原発する疾患が原因でおこる呼吸様式があります。この場合、呼吸数と呼吸振幅はいずれも低下します(これは運動時、興奮時など病的でない場合にも起こります)。おもに意識の低下を伴う脳障害、脊髄障害、末梢神経障害、多発性筋症などで見られます。
異常な呼吸様式を評価するには、ワクチンの接種歴、ほかの動物との接触、地理的な遍歴、既往歴の聴取が重要になります。
慢性的な咳により衰弱と疲労を招き、呼吸筋の機能が維持できなくなり呼吸困難に陥ることもあります。動物の呼吸に異常を感じたら早めに病院に連れて行ってあげてください。
M.M.