南が丘動物通信

イヌの膵外分泌不全症 14年11月23日

膵臓はインスリンの内分泌とリパーゼやその他の消化酵素の外分泌を行う臓器です。膵外分泌不全症は消化酵素が出なくなるという病気です。消化酵素が分泌されないということは食物をうまく消化できず、栄養を吸収できないため食欲旺盛にもかかわらず体重減少が認められます。中でも脂肪を分解するリパーゼは膵臓からしか分泌されません。なので膵外分泌不全症では脂肪便を伴った慢性下痢も特徴の一つです。
膵外分泌不全症の原因は①消化酵素を分泌する膵腺房細胞の委縮で、免疫介在性に腺房細胞が破壊される先天性疾患。特にジャーマン・シェパード、イングリッシュ・セッター、ラフ・コリーなどで若齢期に発症したものはこの可能性が高いです。②慢性膵炎末期の犬で広範囲に及ぶ膵腺房細胞の損傷。重篤な膵炎発症後よりも臨床徴候を示さない慢性膵炎の結果見られることが多いです。
診断には血中の膵酵素活性測定をメインに行いますが一度の検査では誤った結果を招き可能性があるので症状が出ていれば数回の検査がお勧めです。
治療法は繊維質・脂肪をあまり含まない消化に良い食事を数回に分けて与えるとともに生涯にわたる酵素剤の補給が必要になります。
膵外分泌不全症に関してはリパーゼの分泌が90%減少して初めて臨床徴候を示すようになります。異常を見つけたらできるだけ早く病院に連れてきてあげてください。M.M.