南が丘動物通信

ウサギの麻酔 14年11月16日

 ウサギは近年ペットとしての人気が高まり多くの方が飼育されていますが、それと同時にウサギへの健康管理にも関心が集まり、避妊・去勢手術も犬猫同様に推奨されています。またウサギでは歯牙疾患や胃腸器病も多く、もちろんその処置には必要ならば麻酔が必要になるのですが、ウサギでは犬猫よりも麻酔リスクが高いと言われています。特に呼吸管理が難しく、胸郭が狭く換気量が少ない、気道確保が難しい、呼吸抑制が生じやすいなどが問題となります。
 ウサギの気道確保ではマスク法、気管挿管法、近年では声門上器具による方法があります。マスク法は簡便な処置ならば適用できますが、長時間の手術にはあまり適していません。気管挿管は喉頭が狭く脆弱なために技術的な問題があり、慣れないと困難ですが安全な麻酔管理には重要です。声門上器具は喉頭を覆い気道を確保するもので、これから期待される方法です。
 薬剤は犬猫よりも比較的高用量であり、呼吸・循環抑制が生じやすいといわれます。アトロピンも不適で、グリコピロレートが適用されます。またストレスをかけると麻酔に対しても悪影響を及ぼすために、あらかじめ術前投薬として鎮静薬も重要です。
 ウサギの麻酔の必要性は高まっており、確かにリスクはありますが、その生物学的特性を理解することで安全に麻酔を実施することを目指しています。当院では、一部の処置を除いては基本的に気管チューブを挿管して手術を行っております。冒頭でも述べたように避妊・去勢などは長期的に健康管理を行う上でとても大事で、特に避妊手術を行っていないウサギの寿命は、子宮、卵巣の病気、がんが多いため避妊済みのウサギにくらべ極端に短いことがわかっております。
10歳を超えて生存しているうさぎはすべてオスか避妊メスだけであるというのが定説です。
ご検討中の方はご相談ください。
T.S.