南が丘動物通信

10月21日 再生医療-神経再生- 第一回 14年10月22日

犬猫の脊髄損傷治療への挑戦

倉敷芸術科学大学 動物臨床再生医療学研究室 教授
JASMINE 客員研究員
愛甲石田動物病院 顧問
田村 勝利 先生

今回は脊髄損傷治療における再生医療の現状につい講演して頂きました。損傷脊髄の再生には多分化能と自己複製能をもつ幹細胞の移植による細胞療法が用いられています。脊髄再生は脊髄の保護、修復、置換によって可能になります。しかし脊髄の置換というのは現時点ではかなり難しく、現在の細胞療法で期待できるのは脊髄の保護と修復ということになります。細胞療法に用いる幹細胞や間質細胞からは脊髄の保護・再生を促す多くの因子が放出されるので、脊髄損傷の動物が歩けるようになるのは難しいが、脊髄障害の場合は望みは高いというお話でした。田村先生もかなりの数の動物で再生医療を行い、成果はそれなりに良いと話されています。当院でも幹細胞を用いた再生医療を行っています。椎間板ヘルニアで手術しても歩けなかった動物が歩けるようになったり、骨折により脊髄損傷を受けた犬が歩いて排尿できるようになったりと成果は得られています。それでも、車いすの犬がいなくなる、歩けない動物がいなくなるまでの成果は得られておらず、今後さらなる発展が望まれる分野だと思います。私たちもその一助となるように臨床の現場で努力していきたいです。
M.M.