南が丘動物通信

成長板骨折 14年04月13日

 成長板骨折とは、成長期のみに認められる骨折です。人と同じですが動物も大人になるまで骨は上下左右に大きくなります。分かりやすい骨の成長は腕の骨、いわゆる上腕骨や、足の骨、いわゆる大腿骨や、下腿骨だと思います。これらは長幹骨と言われています。その骨が成長とともに大きくなるのに必要なのは、長幹骨の上下にある成長板です。レントゲンでは、成長板は他の骨よりも黒く映るので、はっきり分かります。長管骨の骨折のうち、1/4から1/3までが、成長板に近い骨端領域に発生するとのことです。また骨成長期における動物の骨折のうち30%が、この成長板を巻き込んだ骨折になります。この成長板は、骨の成長に関わる大事な場所ですので、もし傷ついたりするとその後の骨の成長に大きく影響することがあります。例えば、肘のすぐ下の骨は、前腕骨といいますが、橈尺骨とも言います。 橈骨と尺骨という2つの骨がくっついて、前腕骨となっています。それぞれ別々の成長板がありますので、片方の成長板が、早期にダメージを受けて成長できなくなった場合でももう片方の成長板は、成長し続けますので、その結果、2つの骨の大きさのバランスが極端に悪くなります。成長し続ける骨は曲がっていき、重度の場合は、それが原因で、肘の関節が脱臼したりします。動物は、足を痛がり、慢性的に足を庇うようになります。成長板の骨折は、そのダメージによって予後が変わってくることもありますので。人では1963年にSalte-Harris型の分類が確立されて、動物でもその分類が取り入れられています。
当院での来院で、骨折で多いのはやはり犬で、腕からの落下が一番多いように思われます。成長板のある若い犬であればあるほど元気で予期しない動きを瞬時にすることがあります。またプードルやイタリアングレイハウンドといった、骨の長くて細い犬種も影響すると思われます。
成長板骨折は、1歳未満でなる疾患です。その状態によっては、その後の長い一生の歩行の状態に影響を及ぼしますので、腕からの落下等には十分に気を付けていただきたいと思います
                                                 M.N