南が丘動物通信

ハトムギエキスの効果 14年02月16日

 尋常性疣贅や青年性疣贅といわれるヒトのイボはたいていパピローマウイルスが原因です。ご存知の方も多いと思いますが、こうしたイボは基本的に液体窒素冷凍凝固療法という非常に痛い治療が適用されます。しかし、古くから漢方薬として使用されているハトムギエキスであるヨクイニンによる内科療法も効果が認められており、日本では保険適用されています。パピローマウイルスはヒトだけでなくイヌ(ネコは非常に稀)に感染する型も存在します。イヌのパピローマウイルス感染症は特に若齢犬の口腔の病変が特徴的ですが、免疫の低下した成犬も容易に感染し、多発性のカリフラワー状腫瘍を形成します。若齢犬の場合通常3か月以内に自然退縮しますが、成犬の場合難治性になることが多く再発の多い腫瘍です。
 当院では成犬の陰茎に発生した難治性のパピローマウイルスによる扁平上皮乳頭腫の外科切除術とその後のハトムギエキス(CRDog)の投与で術後9カ月の現在まで腫瘍の増殖をコントロールすることが出来ています。以前は陰茎が包皮に収まりきらないほど腫瘍が増殖していましたが、現在ではなめらかな粘膜が形成されています。
 ハトムギエキスの効果は、抗腫瘍活性、抗酸化作用、免疫賦活作用、抗高脂血症作用、抗炎症作用などが報告されています。今回の症例でも使用したCRDogはハトムギエキス含有加工食品でイヌやネコの口内炎や皮膚病のサプリメントとして使用されています。サプリメントですので効果の有無は様々ですが、今回の症例のように絶大な効果がある場合もあるので、今後注目されてくるのではないかと思います。実際に使用されている飼い主様の声をお聞きした限り、口内炎と被毛への効果はかなり高いようです。副作用はないので、気軽に試されてみてはいかがでしょうか。
                                                          M.M.