南が丘動物通信

副腎皮質機能低下症(アジソン病) 13年12月25日

 副腎とは腎臓のそばにある、主にホルモンを産生する内分泌器官です。副腎皮質機能低下症とは副腎でのミネラルコルチコイドとグルココルチコイドが共に分泌不全となる病気で、それに伴う全身的な症状が現れます。元気消失、食欲不振、震えなどがみられますが、多くは下痢や嘔吐などの消化器症状や低血糖に伴う症状で発見されることが多いです。他の内分泌疾患の多くと異なりこの病気は若~中齢での発症が多く、身体検査では脱水、徐脈、体重減少などがみられます。
 検査では高カリウム血症、低ナトリウム血症(Na/K=27以下)、低血糖、高窒素血症や腹部超音波検査での小さな副腎の描出、そしてACTH刺激試験での異常低値が確定診断となります。
 急性の副腎機能不全(アジソンクリーゼ)の場合は緊急性があり、ショックに陥っているために循環血液量の回復のための点滴、高カリウムの補正、低血糖の是正、そして速効性の水溶性グルココルチコイドの投与を行います。通常は2.3日くらいで改善がみられ、維持療法へとうつります。ミネラルコルチコイド製剤であるフロリネフ(酢酸フルドロコルチゾン)とプレドニゾロンの内服投与法では電解質をみながら投与量を調節します。最近ではDOCP(デソキシコルチコステロンピバレート)を25日毎に筋肉注射とプレドニゾロンの内服投与することで副作用も少なく良好にコントロールできると感じております。
 この病気の予後は良好で、積極的に治療していくことで本来の寿命を全うできるといわれています。
T.S.

DOCP製剤
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