南が丘動物通信

短頭種気道症候群 11年02月08日

短頭種気道症候群(または上部気道閉塞症候群)とは短頭種の犬(ブルドッグ、ボストンテリア、パグなど)や顔の短い猫(ヒマラヤンなど)でみられる下記の解剖学的異常のうち一つまたは複数が組み合わさって存在する病気です。

・外鼻孔の狭窄
・軟口蓋の過伸長
・喉頭小嚢の外転
・喉頭虚脱
・気管の低形成(ブルドッグ)

これらの異常によって上部気道で空気の流れを損ない、騒々しい呼吸音、喘鳴音、努力性呼吸、チアノーゼ、失神などの症状を引き起こします。これらの症状は運動、興奮、高い外気温によって悪化します。また、吸気時の努力性呼吸は喉頭および咽頭の粘膜において二次的な炎症や浮腫を引き起こし、喉頭小嚢の外転を増大させ、声門をさらに狭窄し、症状を悪化させる悪循環に陥ります。結果として致命的な上部気道の閉塞を引き起こすこともあります。

治療は症状を悪化させる要因(運動、興奮、高い気温など)を最小限にし、上部気道の空気の流れを良くすることを計画することが大切です。外科的には狭窄した外鼻孔を拡張する、過伸長した軟口蓋や喉頭小嚢を切除するなどの治療があります。内科的には短時間作用型のプレドニゾロンの使用で二次的な咽頭、喉頭の炎症や浮腫を軽減し、空気の流れをよくすることが期待できます。しかし根本的な治療には外科的な治療が必要となります。