南が丘動物通信

先天性泌尿器疾患 11年01月18日

先天性の泌尿器疾患は、腎臓、尿管、膀胱に分類されます。

 腎臓の異常は、①低形成と欠損。両側では、新生児期に、生命維持が出来ませんが、片側では、健常側の腎臓は代償性肥大を生じて臨床徴候なく成長します。犬での報告は多いですが、猫での報告は少ないです。②遊走腎と腎逸所症。腎臓が本来ある場所にないのですが、このことによる臨床症状は、通常ありません。③嚢胞腎。犬で時折見られ、様々な大きさを持つ単独あるいは多発性の嚢胞が腎表面や実質内に存在します。多発性嚢胞は先天的なものと考えられています。腎臓の機能していない場合があります。④水腎症。腎盂から下部の尿路に通過障害がある場合尿が排泄されず、腎実質を圧迫して萎縮をもたらします。症状は徐々に臨床症状をが進行します。⑤家族性腎症 血統的に腎不全に移行しやすく多くの品種が知られています。

 尿管 異所性尿管 尿管の出口が本来の場所ではなく、尿道、膀胱頸部 子宮角 膣などに開口したもので、特に雌犬の発生が多く、猫でも報告されています。 尿失禁や尿路感染症の原因になります。異所性尿管は、片側や両側性に発生して尿管拡張や水腎症を併発している場合があります。

 膀胱 尿膜管遺残症と尿膜管嚢胞 小さな膀胱憩室を作ることがあります。この先天的な疾患では、持続的な難治性膀胱感染症の原因になると考えられています。また猫の下部泌尿器症候群の原因の一つとして注目されています。またまれに生後臍との交通が残っており、臍部から尿が滴下する事があります。

 尿道 尿道破裂や瘻管を形成している事があります。

他に膣前庭狭窄といった、膣の異常や、尿路結石症、泌尿器の解剖学的異常をともなった、尿失禁などがあります。