南が丘動物通信

ネコの気管支喘息 10年12月07日

ネコの喘息は、ヒトの喘息と同様にその病態生理は十分に解明されていませんが、何らかの原因によって気道炎症や平滑筋収縮、粘膜上皮の浮腫、粘膜腺肥大および過敏性によって気道閉塞が起こります。このことが、咳、喘鳴、運動不耐性、呼気性呼吸困難を引き起こします。大気汚染やタバコの煙、ハウスダスト、トイレの埃、暖炉の煙、家庭でにおいを発するもの(芳香剤、ヘアスプレー、脱臭剤など)、ハウスダストマイトや花粉などの吸入、さらにウイルス、細菌、マイコプラズマ、寄生虫などによる気道感染などが喘息の発病や増悪因子と言われています。若齢から中齢で見られる事が多く、シャム猫あるいはシャム猫系の雑種において好発傾向にあると言われています。
診断は、血液検査、レントゲン検査、気管支肺胞洗浄液の検査などによって行います。しかし、これらの検査を行っても確定的でない場合もあり、その際には副腎皮質ホルモンの投与によって改善が見られた場合はこの疾患が強く疑えます。
治療は、気管支拡張療法や副腎皮質ホルモンなどによる抗炎症療法、アレルゲンの除去などが治療の主軸となります。また緊急時は酸素吸入も必要となります。その他、抗生剤の投与も必要に応じて行い、また気管支拡張療法や抗炎症療法などによる一般的な治療に反応がない場合は免疫抑制剤の投与も検討されます。さらに近年では、全身への副作用を軽減できることから吸入コルチコステロイド投与や吸入気管支拡張剤の投与も検討されます。