南が丘動物通信

8月28日 葉月会皮膚病学セミナー 10年08月28日

自己免疫性皮膚疾患
東京農工大学 岩崎利朗教授

今回は、自己免疫性皮膚疾患と考えられる疾患、天疱瘡群、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス群、Vogt-koyanagi-Harada症候群についての講義を受けました。自己免疫性疾患は多くない疾患で、多くの自己免疫性皮膚疾患の診断は生検、皮膚病理組織学検査に基づきます。治癒しないので、その旨と管理が重要な飼い主様に説明する事が重要です。
天疱瘡群がもっとも一般的な自己免疫生皮膚疾患で、犬でまれで、猫で非常にまれで起こります。皮膚、粘膜に水疱あるいは膿疱を示し、デスモソーム蛋白に対する自己抗体を有しています。膿疱、痂皮下の細胞診では変性のない好中球と大型の棘融解細胞が認められます。紫外線で悪化する場合があります。
水疱性類天疱瘡は皮膚と真皮間の基底膜の接着蛋白に対する自己免疫を有します。擦過部位の水疱、びらん、潰瘍、痂皮が主な症状です。エリテマトーデスは、様々な全身性の症状(発熱、蛋白尿、関節炎等)や皮膚の症状を示します。
またVogt-koyanagi-Harada氏病は、ブドウ膜炎、皮膚の色素脱失、粘膜びらんがあり、メラニン、メラノサイトに対する自己抗体が原因で、秋田犬、ハスキー。マラミュートが好発犬種です
今回の免疫性疾患は、珍しい疾患ではありますが、治癒しない疾患であり、しっかりとした診断と、飼い主様への説明が必要と思いました