南が丘動物通信

レプトスピラ症 10年04月27日

レプトスピラ症は運動性らせん菌であるLeptospiraceae科,Leptospira属の細菌感染によって引き起こされる疾患です。
小動物臨床では主に犬で問題となる疾患で、症状が急性に経過する場合では食欲不振、呼吸促迫、嘔吐、発熱、可視粘膜蒼白、頻脈(場合によっては皮膚の点状出血、鼻出血)などの激しい症状がみられ多くが死に至ります。慢性に経過する場合も上記の症状に加え、腎障害や肝障害がみられ尿毒症となり死亡することがあります。

レプトスピラは人や野生動物を含めた様々な動物種に感染する人獣共通感染症で、日本では届出伝染病に指定されています。この菌は感染動物の尿中に排泄され、水田、池、沼、水たまりなどの湿潤な環境で増殖し、動物の口や粘膜、傷口などから別の動物に感染します。三田市や篠山市は野生動物が多数生息するとともに、水田や池、沼も多く、全国的に見てもレプトスピラが多い地域の一つであることが分かっています。

レプトスピラは人にも感染し、発熱や溶血性黄疸を主徴とするワイル病を引き起こすので、愛犬のみならずご家族のためにも予防が重要です。普段の散歩で水田や池、沼、水たまりなどに入れないことを心がけるとともに、ワクチン接種による予防を行うことをお勧めします。