南が丘動物通信

犬の脂質(コレステロール・中性脂肪)について 10年04月22日

犬の脂質(コレステロール・中性脂肪)について以前よりいろいろと研究されておりましたが、
最近多くの知見がえられ、脂質の代謝解析する検査機関もでてきました。
血清中の脂質:脂肪酸、リン脂質、コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)
血清中のリポ蛋白の種類は以下のように分けられます。
カイロミクロン(CM);中性脂肪8割 コレステロール1割 リン脂質1割
超低密度リポ蛋白(VLDL) 中性脂肪6割 コレステロール2割 リン脂質2割
低密度リポ蛋白(LDL) 中性脂肪5割 コレステロール2.5割 リン脂質2.5割  悪玉
高密度リポ蛋白(HDL) 中性脂肪0.5割 コレステロール4割 リン脂質5.5割  善玉
血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に増加し、リポ蛋白のバランスがくずれ脂質代謝異常が
おきることがあります。
脂質代謝異常には疾患によるものと原発性のものがあります。 
疾患によるもの
一般的:甲状腺機能低下症・糖尿病・膵炎
 時々:副腎皮質機能亢進症、肝臓・胆嚢疾患、妊娠、薬物由来、肥満、ネフローゼ症候群、グラム陰性敗血症
原発性高脂質血症、特発性高脂血症
 ミニチュア・シュナウザー(高中性脂肪・特発性高カイロミクロン血症)
 シェットランド・シープドッグ(高コレステロール)
 など
高リポ蛋白血症の症状としては
癲癇様発作、急性の失明、眼球混濁、腹痛や下痢・嘔吐、膵炎、肝腫大がいわれており、また
中性脂肪が450以上あると膵炎の発生率が極端に増えるという報告もでてきております。
中性脂肪の異常値の評価はさまざまですが、250以上は明らかな上昇、450以上は治療が推奨、800以上は治療が強くすすめられると考えていただいてよいと思います。
治療は病気によって異なります。
高脂血症    脂質代謝改善薬
;r/d w/d メイベット DHA&EPA セサミンE
肝臓・胆嚢疾患 脂質代謝改善薬 強肝剤 利胆剤
;亜鉛・抗酸化・分岐鎖アミノ酸・l/d
糖尿病     インスリン 脂質代謝改善薬
;糖コントロール w/d
甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモン 脂質代謝改善薬
        ;w/d
クッシング症候群 Op’-DDD、トリロスタン、脂質代謝改善薬
        ;w/d   
腎疾患      輸液、腹膜透析、ACE阻害薬、脂質代謝改善薬
        ;活性炭、k/d、CKW、腎臓サポート、腎臓アシスト
などです。
脂質に関しての研究はこれからさらにすすんでいくと考えられており、病気の早期発見や発症の予防に貢献していくと思われます。