南が丘動物通信

犬の骨肉種 10年03月16日

 骨肉腫は原発性骨腫瘍の中で最も多く、悪性骨腫瘍全体の70~80%を占めるといわれています。大型犬や超大型犬に多発する傾向があり、2歳齢時と9歳齢時に発生のピークがあると報告されています。
 骨肉腫は、前肢においては肘から離れた部位に、後肢においては膝に近い部位に多発し、このような四肢の骨に腫瘍が発生した場合によくみられる症状は、跛行や患部の疼痛などがあげられます。
 骨肉腫は症状がみられた時点で、90%は遠隔転移がおこっているといわれています。そのため、骨肉腫を根治することは非常に困難です。
 治療の目標は、疼痛を緩和しながら、飼主様と出来るだけ長く生活することとなります。
 無治療の際の平均生存期間は4~6カ月と非常に短く、その期間は疼痛を我慢しながらの生活になります。疼痛緩和の第一選択は断脚です。断脚と聞くと抵抗を感じる飼い主様が多いと思います。しかし断脚後、多くのわんちゃんはみごとに3本足で今までの生活をおくれます。また、断脚後のご家族の満足度は100%との報告もあります。それでも断脚に抵抗がある場合は、緩和放射線療法、オピオイド鎮痛薬、ビスフォスフォネート製剤などが疼痛緩和のために使用されます。
 以上の治療をしても生存期間の延長は望めません。生存期間の延長には抗癌剤療法が必要となり、抗癌剤療法により平均生存期間は8~18カ月に延長すると報告されています。