南が丘動物通信

スコティッシュフォールドの骨軟骨異形成症 09年12月30日

最近スコティッシュフォールド゙が人気を集めています。耳が垂れているかわいさで、猫での人気ランキング1位にあるようです。しかしこの品種は多くの個体で、遺伝的に骨の軟骨に異常をきたし歩行障害を示すことが明らかになっております。もしスコティッシュフォールドを飼ってみたいと思われている方は次に記述する内容を読んでいただいたうえで考慮していただけたらと思います。
もともとスコティッシュフォールドはスコットランドに産まれた突然変異の遺伝子を持った耳が前に折れ曲がった猫を1960年代初頭に発展固定させた新しい品種です。ところがこのスコティッシュフォールド同士を交配させると多くの子孫が生後早期に歩行障害を示すことが判明されました。発症した猫は変形や短縮した足を持っておりレントゲンで成長板の障害を容易に見つけることができます。このことをうけて英国では繁殖することが法的に禁止されました。
皮肉なことにこの品種は米国において、耳が垂れている猫と耳が垂れていない猫を交配することで比較的正常な子孫が生まれ、半分の子孫が耳が垂れていることを発見し品種として存続させることにより、現在に至っています。最近の研究では耳が垂れていること自体が軟骨の異常でおきており、耳が垂れているようにする遺伝子は関節の軟骨にも異常を起こすと考えるべきであるというようになってきております。スコティッシュフォールドは垂れ耳である同系種(ホモ)と垂れ耳でない異形種(ヘテロ)にわかれますが、最近の研究で、猫の耳を垂れさせる軟骨の異常は優性遺伝形質で、ヘテロは個体ごとに程度は異なるが永遠に進行性の関節炎にくるしめられることが確認されました。ホモ垂れ耳遺伝子を持つ猫は若い時期より病的な関節炎を進行させ、ヘテロの垂れ耳種は関節炎を発症するがホモ種よりゆっくり進行し、おどろくべきことにこれらの関節軟骨は典型的な猫の活発なライフスタイルによる摩擦・磨耗にたえきれなくなるようです。
治療法としては、コンドロイチンやグルコサミンを推奨する獣医師もおりますが現段階でははよくわかっておりません。