南が丘動物通信

11月9日 志学会セミナー 08年11月10日

第三回 志学会セミナー
心不全の治療戦略
日本大学 上地 正実先生

 伴侶動物の高齢化に伴い、心臓病を患っている犬や猫が多くみられます。日々の診療でしばしば出会う疾患なので馴染み深く、勉強する機会も多いですが、ついついルーチンな診察にもなりがちです。そのようななかで、心臓病を診断するための一番基本的な検査である聴診から始まり、薬物による内科治療、弁膜症の外科治療まで、幅広く講義していただきました。
 心臓薬に分類されるものには非常に多くの薬物が含まれ、心臓病の状態に合わせて様々な薬物を選択し、組み合わせて投与しますが、非常に理論的に心臓薬の使い方を講義してくださいました。今まで使い慣れていた薬物に対しても新しい知識を得ることができ、また昨今小動物の心臓病治療において注目を集めているピモベンダンに関しては詳しくお話ししてくださいました。
 一般の動物病院では、心臓病の外科治療は設備や人手の問題があり実施するのは現実的には難しいですが、どんな治療法があり、手術した場合の成績や経過などについても触れていただいたので外科治療という選択肢を考える礎にもなりました。