南が丘動物通信

雌犬の生理 08年07月19日

もともと狼は雌が何匹か集まって群れをつくり生活していました。メスのボス狼が発情すると他のメス狼たちもつられるように発情をいたします。ただ群れの中で、オス狼と交尾し子狼を生むのはボスだけです。優秀な子孫をのこすために優秀なメス狼だけが子狼を生むのですが、もしメスのボス狼がなんらかの理由で亡くなったとしたら、オッパイをもらえなくなった小狼たちは死んでしまうことでしょう。そうならないために、だれか別の狼が子狼を生んでいなくても乳母さんとなってオッパイがでるように、神様が狼の生理を作ったと言われており、子供を妊娠している狼も、妊娠していない狼も同じように黄体期が続き、そのことによって妊娠していなくてもオッパイがでる乳母さん狼がいるのです。
犬にもその生理がうけつがれており、すべての雌犬が発情、排卵のあと妊娠してようが妊娠してなかろうが、2ヶ月あまりの黄体期が続きます。これは犬だけの特殊な生理で、そのために時々乳母さんになって他の動物を育てる犬の話がでてきたりしますが、これはけっして想像妊娠をしているのではなく、偽妊娠という正常な生理のうえに起きてきている行為なのです。また、この生理があるがゆえに、犬は6歳以上の8割以上に卵巣・子宮の異常がおき子宮蓄膿症、卵胞嚢腫などが多発します。またこのことが乳腺の腫瘍の誘発を招きます。犬に子宮卵巣摘出術(避妊手術)を勧められる理由がご理解していただけるかと思います。