南が丘動物通信

猫の甲状腺機能亢進症 08年05月17日

猫の甲状腺機能亢進症は、わが国においても、かなり増えているように思えます。米国で1979年にはじめて臨床報告がされてから1980年代以降非常に多くみつかるようになってきました。日本でも1992年にはじめての報告があって以来たくさんの報告があります。日本での外科手術の報告は、当院が1996年に発表させていただいたものが最初になりますが、当院における手術数も年々増加しております。
猫の甲状腺機能亢進症の一般的な症状は、体重減少、多食症、多飲多尿、嘔吐または下痢です。
性格や、行動の変化がおきたり、毛づやがわるくなったりする猫もいます。
当院での診断がついた理由の1番目に上げられるのは体重減少、2番目は心拍数の上昇です。
ワクチンなどで病院につれてこられたときに診断されることが非常に多い病気です。
猫を飼われている方は、上に書いたような症状に心当たりがあれば是非、病院の受診をお勧めいたします。検査は非常に簡単で、血液中の甲状腺ホルモンを計測することによりすぐに診断がつきます。高齢になれば定期的に健康診断をうけられることもよいことだとおもいます。
猫の甲状腺機能亢進症は心臓、腎臓の悪化を伴うために早期の発見が良い予後につながります。
治療は内科療法と外科療法で、放射性ヨード治療はわが国では現在のところ行えません。
長期における経過をみると内科療法でコントロールした後、外科療法を行うことががお勧めです。外科治療をうけた後も、甲状腺ホルモンをのませる必要がある猫は非常にまれです。