南が丘動物通信

4月24日 葉月会 臨床病理学シリーズセミナー 19年04月29日

第10回 犬の臨床病理シリーズ 尿検査・糞便検査

小笠原聖悟先生 米国獣医病理学専門医

日常診療で血液検査とならんで行う機会の多い糞便検査について、セミナーを受けました。

糞便の与えてくれる情報は少なくなく、その色調、硬さ、臭い、そして消化状態から細菌叢、含まれる細胞成分まで多岐にわたります。今回のセミナーでは、顕微鏡の使い方から、糞便検査を行うときの糞便の濃さといったとても基本的な、なかなか聞けない、教えてくれないことを聞くことができました。基本的な顕微鏡の使い方が間違っていると検査の精度を落としてしまします。

また、あまり日常的に行っていませんが、一部の腫瘍や炎症の診断に用いられる直腸掻把試験のスライドについてもいろいろ見ることができ、明日からの診療に、すぐにでも役に立つ講義を聴くことができました。

M.K

4月19日 志学会 月例会 19年04月19日

ある統計によると動物病院に来られる患者さんで一番多い病気は「皮膚炎」と言われています。

今回の志学会ではそんな皮膚疾患症例から学ぶ、日常でおちいりやすい皮膚病の講演を神田 聡子先生より聴講しました。

皮膚疾患へのアプローチはその症例の見た目やフード、環境、既往歴などの情報を冷静に分析することが大切です。

特に高齢の大型犬やビーグル、M.ダックスには甲状腺機能低下症が多く、それにより皮膚のバリア機能が低下し皮膚炎を起こす症例も数多くあります。

本院にも甲状腺機能低下症の患者さんは多いです。そのほかにも副腎皮質機能亢進症により脱毛をおこし、皮膚症状を起こす子もいます。

それらを見逃さないためには臨床経過と皮膚症状に矛盾がないか?皮疹と皮膚検査は合致しているか?痒みの原因は?などから多くの病名が挙げられると思いますが、ひとつずつ理論的に判断することで治療へつながると思われます。

H.F

4月5日 葉月会セミナー 腎・泌尿器学シリーズ 19年04月05日

1から始める腎臓病のはなし 第5回糸球体疾患とその治療

宮川優一 日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室第二 講師

 腎臓病について基礎から見直すこのシリーズセミナーの5回目は糸球体疾患についてでした。腎臓病の検査において尿検査はとても大事ですが、ついやらずに放置されてしまいがちです。しかし尿検査で最も重要なのが尿蛋白の検査で、それは尿蛋白の検査は尿検査なしでは診断がつかないからです。

 犬では糸球体疾患からの蛋白尿が多く、これが慢性腎臓病の原因の50-70%を占めています。血液検査で腎臓の項目が正常でも、尿蛋白がある時点で治療対象になります。一方猫では慢性腎臓病の原因としての蛋白尿は少なく、むしろ腎臓病の結果として生じることが多く予後の指標にも使用されます。糸球体疾患の治療には現在多くの薬剤が使用されますが、ACE阻害薬とARBの効果の違いについて、また先生の症例を通じて治療の反応性について分かりやすく講義していただきました。

 当院でも以前から尿検査の重要性についてご説明させていただいていますが、さらに根拠をもってお話できるようになったセミナーでした。

T.S.