南が丘動物通信

4月21日 志学会月例会 17年04月21日

小型犬の橈尺骨骨折に対するフロートプレート法

奈良動物二次診察クリニック 米地 謙介先生

 橈尺骨の骨折はソファーから飛び降りて、または抱っこしていたら暴れて落ちてしまった。等々の理由によって簡単に生じてしまうポピュラーな骨折です。今回は、その橈尺骨骨折に対する処置の1つであるフロートプレート法についての講義を受けました。

フロートプレート法は従来のプレート法と異なり、プレートを骨から浮かせた状態でスクリューを入れることに因って直接プレートが骨に当たることなく設置する方法で、利点としてはプレート接着による骨の接着面へのストレスが軽減されることにあります。また、同じような骨に対してピンを入れ、外から固定する創外固定法と比較して、術後管理がしやすいと言うことが挙げられます。ただし創外固定よりも技術的に難しくまた、プレートが高価であるといったような欠点もあり、一般化にはまだ遠いようではあります。

いかに骨に負担がかからず骨がくっついていってくれるか、また再骨折の危険性を低くするかといったことが骨折に対する処置の課題です。ただ何よりも日常生活のふとした出来事で生じてしまう事故ではありますのであまりわんちゃんが高いところにのぼらないよう重々に気をつけて頂ければと思います。

S.A

4月19日 輸液療法セミナー 17年04月20日

炎症疾患動物に対する輸液療法

カリフォルニア大学デービス校 上田 悠 先生

米国認定獣医救急集中治療専門医である上田先生によるWEBセミナーが行われました。今回は、全身性炎症反応症候群(SIRS)や敗血症を代表例とした炎症性疾患患者に対する輸液療法の考え方を講義して頂きました。SIRSや敗血症は全身的に様々なトラブルが引き起こされ、特に血液分布異常性ショックを引き起こしやすいとされています。そういった患者には輸液療法が重要になりますが、その際どういった輸液剤を選択すべきか、また輸液をどこまで行うべきかなどを詳しく教えて頂きました。特に獣医師は、輸液療法は様々な病気の治療の基本であり、輸液療法をすることに害がないと考えがちですが、そもそも輸液剤も薬であり、過剰な輸液は害になりえるということを再認識しました。今後の診療に活かしていきたいと思います。

T.H.