南が丘動物通信

1月24日~25日 日本獣医がん学会 15年01月26日

ホテルニューオータニ大阪にて開催された日本獣医がん学会に参加しました。
眼・眼瞼腫瘍のシンポジウムでは、辻田裕規先生(どうぶつ眼科専門クリニック、DVM、米国獣医眼科専門医)の講義を受けました。犬・猫において眼腫瘍の発生は比較的稀ではありますが、視覚の質(Quality of Vision)や生活の質(Quality of Life)そして時には生命そのものに大きな影響を与えることもあります。眼腫瘍はその発生部位により、①眼付属器・眼球表面、②眼球内、および③眼窩・球後腫瘍の3種類に区別され、辻田先生には各発生部位における代表的な腫瘍の臨床的挙動および手術手技に関するポイントなどを写真や時に動画を交えて説明していただきました。明日からの診療に活かしたいと思います。
H.B.

1月25日葉月会セミナー 15年01月25日

葉月会セミナー
獣医呼吸器疾患シリーズセミナー
気管、気管支疾患 Part1
日本獣医生命科学大学 藤田道郎教授

今回から葉月会セミナーで新シリーズが始まりました。 藤田先生の呼吸器シリーズです。日曜の夜ですが、セミナールームは満席に近く活気にあふれていました。
まず、臨床医として忘れがちな気管の構造、生理の復習から始まり、なぜそのような症状になるのかを論理的に説明して頂きました。今回は気管、気管支を主に学びました。特に犬の気管虚脱、気管支虚脱は臨床でよく遭遇する疾患です。呼吸はどのように行っているのか、気管支虚脱の症例はなぜそのようになっているのか、系統だった説明や透視画像や気管支鏡の画像はとても勉強になりました。また内服治療のポイントや現在の外科治療のこと、生活環境の中で気を付けるべきことを、実際の症例を通じて学ぶことは、とても勉強になりました。 今後の治療に役立てていきたいと思います。
                                        M.N

1月23日 志学会セミナー 15年01月23日

会陰ヘルニア
酪農学園大学 福井 翔先生
本セミナーでは、会陰ヘルニアの基礎から外科的適応方法についてまで学びました。肛門周囲の解剖学、会陰ヘルニアの発生要因、会陰ヘルニアの検査・診断、外科療法の様々な選択肢そして外科療法の合併症まで多くを御教授頂きました。有意義な時間でこれらの知識を今後の臨床に活かしていけたら良いと思います。              D.T

1月17日 葉月会セミナー 15年01月17日

葉月会セミナー 胸腺腫 
酪農学園大学獣医学類 廉澤 剛 先生

今回のセミナーは胸腺腫の外科的治療についてでした。
胸腺腫では外科療法がもっとも効果的といわれ、約7割の症例で切除可能といわれています。実際の手術動画を用いて、気をつけるべき血管、神経などを詳しく解説していただきました。

1月14、15日 JAHA国際セミナー 15年01月16日

臨床麻酔を極める
James Cook University 三宅ゆかり先生

大阪で行われた上記セミナーに参加してきました。麻酔をかけるということは大なり小なりリスクを伴う行為ですが、検査や手術を行う上で必須のものです。今回のセミナーでは、各麻酔薬の利点と欠点や心、腎、肝などの疾患患者の麻酔において選択すべき麻酔や留意点などを講義していただきました。また、昨年日本でも発売が開始された麻酔薬アルファキサロンについても詳しく説明していただきました。麻酔の基礎から応用まで幅広く学べた2日間でした。今後の診療に活かしていきたいと思います。

1月15日 葉月会循環器セミナー 15年01月16日

僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療
~手術の適応と術後管理~
菅野信之先生(狭山動物心臓病研究会、獣医循環器学会認定医)

変性性僧帽弁疾患による僧帽弁逆流は、犬でよく発生する代表的な心疾患です。病態の悪化は動物の年齢(高齢化)、僧帽弁逆流(心雑音)の程度、および弁の変性の程度に関連しており、発咳や運動不耐性、呼吸困難(肺水腫などによる)といった症状が進行性あるいは急性に起きます。心臓血管薬を用いた内科的治療が一般的ですが、病態の進行のスピードをある程度緩徐にはできても根治療法には至りません。体外循環を用いて腱索再建術や弁輪縫縮術を行う外科治療は僧帽弁閉鎖不全症の根治が期待できる治療です。菅野信之先生は専門スタッフとともにチームを構成し、僧帽弁閉鎖不全症をはじめとした心臓外科手術に取り組んでおります。今回、僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療の適応、術前~手術~術後の流れ、術後の合併症などについて実際の症例の写真や動画を交えて講義していただきました。現在の獣医療ではまだまだ心臓外科を行える施設も少なく、それゆえにホームドクターは心臓手術に対する理解を深め、手術実施に向けた専門医とのネットワークの構築が望まれます。
H.B.