南が丘動物通信

意外なフィラリア症 19年09月26日

みなさんは犬糸状虫とはどんな虫であるかはご存知だと思います。

蚊から媒介される糸状虫は犬や猫以外にも意外な動物に寄生することがあるのはご存知でしょうか?

タヌキやイタチなどの食肉目やアシカやオットセイなどの海獣類の他に2005年のある報告では国内における動物園で飼育されていたフンボルトペンギンの右心房から犬糸状虫の成虫が検出されたとある。ペンギンには鳥マラリア原虫に感染するリスクが高く、日頃から感染の可能性があるにせよ、犬糸状虫に罹ったペンギンは宿主不適正として病原性が現れ、後に衰弱死したと報告がある

宿主動物や媒介動物の生態系や行動範囲だけでなく、環境条件によっても感染症のリスクが変動し、特に蚊における問題は今後とも大きな課題となっていくであろう。

H.F

気づいたらイボが... 19年09月20日

今までなかったのに気づいたら皮膚に、イボができてた...このまま様子を見ていていいのか、動物病院に行った方が良いのか心配になりますよね。今回はイボを種類ごとに見ていきましょう。

1)腫瘍

腫瘍ときくと、「ガン」をイメージすることがあるかと思いますが、腫瘍には『良性の腫瘍』と『悪性の腫瘍』があります。

『良性腫瘍』は大きくなることはあっても、他の臓器に広がる(転移)ことや、命に影響するということが少ないタイプの腫瘍です。ただし、場所によっては動きの邪魔になったりすることもあります。『悪性腫瘍』は転移を起こしたり、体の中に入り込みながら大きさや数を増やし、悪影響を及ぼすタイプの腫瘍です。一般的に「ガン」と呼ばれます。悪性腫瘍は以下のような特徴を持つ事を知っておきましょう。

大きくなるスピードが早い(たとえば1ヶ月程度で倍の大きさになるなど)

・表面がただれている

出血している

・非常に痒がる

・非常に痛がる など

しかし、しこりができても「がんかもしれない!?」とすぐに不安にならないでください。「皮膚では良性と悪性はどちらが多いのか?」と言うと、圧倒的に良性腫瘍のほうが多いとされています。

2)炎症

皮膚はいくつかの層からなります。皮膚の深い層、つまり真皮や皮下組織に炎症が起こると、皮膚がしこりのように腫れます。皮膚の深い部分の炎症は、主にケガや傷、菌が深く感染、トゲなどの異物が刺さった場合みられます。炎症が強い場合には、痛みを伴ったり、熱っぽかったり、します。また、感染や異物などの場合は、しこりがはじけて膿や血がでることがあります。

3)その他

人間の粉瘤のように、角化物や皮脂やたまった袋のような構造ができて、しこりになる場合もあります。また、唾液腺や汗腺がつまってしこりを形成する場合もあります。これらは直接的に身体に悪影響を与える事はありませんが、大きくなりすぎると邪魔になる事があり、そのような場合は、麻酔下・鎮痛下で切除する事があります。

今回はイボの種類に関してでした。少しでも不安に感じたら1人で思い悩まず、獣医師に相談してくださいね。

K.G

栄養素がかかわる皮膚疾患 19年09月17日

皮膚疾患のなかには栄養障害が原因になっているものがあります。一般的なドッグフードを与えている場合、特定の栄養素が欠乏することはほとんどありませんが遺伝的な問題で吸収障害がある場合があります。以前コラムに書かせていただいた亜鉛反応性皮膚症はこれに当てはまります。また亜鉛の吸収はカルシウム、鉄の吸収と相互にかかわっており、カルシウム、鉄を多給した際にも吸収不良を起こします。

必須脂肪酸、ビタミンAが欠乏した際にも皮膚炎が起きます。したがって皮膚疾患ではない病気で食事制限をしているときにも気を付けなければなりません。例えば膵炎を起こした際特に急性期には超低脂肪食を強く指導させていただいておりますしかしながら超低脂肪食は永続的につづけると必須脂肪酸、ビタミンAが足りなくなってしまいます。そこで当院では膵炎の際は病状の安定・改善を確認しながら療法食へすこしずつ切り替えたり、サプリメントをおすすめさせていただいたりしています。これらが欠乏したとき症状としては毛穴の角栓、フケ、抜けやすいつやのない被毛、軽度の掻痒がみられます

栄養は欠乏も過剰も気を付けなければなりません。お困りの際はぜひご相談いただけたらと思います。K.Y

ブルドッグの仔犬11頭計画出産致しました。 19年09月11日

今日はブルドッグの帝王切開がありました。発情時にProgesteroneを計測させていただき排卵日を特定し交配していただきました。今日は排卵後ちょうど63日目にあたります。ちょうど体温の下降がピークをむかえ、予定通り帝王切開を行いました。麻酔は仔犬にできるだけ移行しないような麻酔薬と筋弛緩薬を使用し、無事11頭取り上げることができました。排卵日を知っておくことは一番成績がよい交配日を知ることができるだけでなく、安定した頭数を得ることができ、仔犬の育ちもよく、出産日を予測したり安全に帝王切開が行うことが可能です。 交配から○○日目なので帝王切開をしたら育っていなくて仔犬が亡くなってしまったなんてことは起きません。卵子の生存期間は5日まで、精子の生存期間は11日までで理論上では生まれる時期は2週間までの間で誤差が出てくる可能性があります。交配なんて見た感じの雰囲気や雄の反応の仕方で分かるとか、膣スメア検査で交配日をきめるなんて思ってられる方も、ぜひProgesteroneの検査意義をご理解いただけますとうれしく思います。ブルドッグのご家族にご協力いただきブログに記事と写真を載せる了承をいただきました。ありがとうございました。11匹もいると育てるのが大変ですが、頑張ってくださいね。仔犬は皆かわいいものですが、ブルドッグの仔犬はとっても可愛かったです!!   S.S

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SUBシステムの洗浄処置 19年09月10日

 当院では尿管結石の症例に対してSUBシステムという器具を用いた手術を実施しております。小動物の尿管はとても細いために、切開・縫合手術をしても再閉塞の可能性が高いため、腎臓と膀胱にカテーテルを挿入し、それをつなぐことで尿管を迂回するというバイパス手術となります。

カテーテルを入れても、カテーテルの内側に微小な結晶や結石が張りつくことで再閉塞してしまうというリスクを抱えることになるのですが、このシステムの最も大きい利点は、術後の再閉塞を防ぐための洗浄処置ができる点にあります。お腹の皮膚の下に埋め込んだポートに特殊な針を刺し、そこから生理食塩水を使ってカテーテルを洗うことができます。またこの処置を同時に腎臓をエコーで観察することでカテーテルが通過性を有しているかを確認することもできます。ちゃんとカテーテルが機能していると、洗浄と同時に腎臓の腎盂というところがペコペコ動いたり、生理食塩水の中の泡が腎盂の中で確認することができます。これが確認できるときは安堵の瞬間です。そしてさらに、細菌を排除したり結晶や結石が張りつきにくくなるための専用の薬剤を最後にカテーテルの中に注入します。単に洗浄するだけでなく、この薬剤が再閉塞を予防してくれるという役割を果たしてくれるため、安心感がさらに増します。

 SUBシステムはまだ完全な装置ではないと開発者も言っておられましたが、それにしても本当によく考えられた素晴らしい装置・手術だと思います。いまはこの洗浄処置は3カ月に1回を目安におすすめしています。せっかく頑張って手術していただいたので、この洗浄を継続して装置を少しでも長く維持していただきたいと思っております。

T.S.

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9月1日摂丹開業獣医師会・岩井聡美先生腎後性腎障害の病態生理と治療法 19年09月02日

北里大学外科准教授岩井聡美先生のセミナーでした。腎臓の病態生理から手術まで詳しく教えていただきました。猫の腎不全の特徴も改めて再確認することができ興味深く聞きました。とくに猫の腎臓病の腎臓の尿管閉塞は近年多くなっている病気の一つです。特に猫で症状がひどくなることが多く緊急性があり至急対処が必要です。尿管の手術は、術後狭窄が起こったり吻合部からの漏れもおおくあるといわれています。腎瘻チューブの方法、腹膜透析、尿管膀胱吻合術、食事管理まで多岐にわたっての講演でした。血液透析、SUBも併用しながらさらに良い治療に繫げていきたいと思いました。

S.S