南が丘動物通信

寝たきりから床ずれへ 19年07月10日

 床ずれ(褥瘡)とは身体にかかる圧力により、皮膚と骨のあいだの血流低下や虚血状態が一定期間維持されることにより生じる組織壊死です。寝たきりになると体の一部分に圧力が集中し、その部分に床ずれが発生するということになります。主に高齢犬で寝たきりになってしまった子にみられますが、どのような条件で発生しやすいのでしょうか?チェックしていきましょう。

・体の栄養状態(痩せてきている)

 自分で食事をして必要なエネルギーをほとんど賄えている子は、寝たきりでもあまり床ずれが発生しません。やはり自身の脂肪組織や筋肉組織があることでクッションの代わりになってくれますが、痩せてくるとそれらの機能が失われ、また脱水状態がすすみ皮膚が固くなり血流が阻害されることで発生リスクが上昇します。また骨が浮いてくるとその部分に体圧が集中してしまいます。

・足腰が不自由

 足や腰、頭部を自由に動かせない状態の動物は、やはり体圧が一点に集中してしまうためにリスクが高くなります。

・固まった関節

 関節拘縮があると体圧の集中が起こりやすくなります。

床ずれは治療よりも予防が大事です。床ずれは血流障害から生じますので、治るのに必要な成分を運んでくれる血液がありませんのでかなり治りにくい病態となっており、床ずれにならないような工夫が必要となります。上のチェックリストに当てはまった場合は、以下のポイントに気をつけて管理していかないといけません。

・適切なマットの上に、適切なポジションで寝てもらう

 寝たきりになってしまった子の管理に、薄いタオルや毛布1枚を下に敷いてあげる程度ではいけません。体圧を分散でき、通気性がよく、また自力で立ち上がりやすいものを敷いてあげる必要があります。近年では動物も高齢化なため、各社から床ずれ防止マットのような製品があり、信頼できるものも多くなっています。そして介護者(ご家族)の負担を軽くしてくれるようなお手入れのしやすさも考慮されているためおススメです。またマットへの接触面をできるだけ大きくすることで体圧を分散させるため、基本は横臥姿勢(横向き)が良いとされています。

・栄養管理

 上のチェック項目にもありましたが、適切な栄養管理は重要です。もちろん食欲もおちてきている子が多いのですが、できるだけ栄養を取らせてあげてください。また脱水も床ずれの大敵なため、必要ならば床ずれの管理だけでなく一般状態の改善も含めた点滴治療なども必要になると考えられます。

・体位変換

 体位変換については未だに統一見解はないものの、よくいわれる2時間に1回の体位変換には科学的な根拠はありません。しかし体位を変えることは、床ずれ発生のメカニズムから考えると必要なことと考えられます。しかし動物は自分の気に入らない体位だと夜泣きが増加したり落ち着かなくなる子も多いために、きっちりとした定期的な体位変換は動物やご家族のQOLを下げかねないため、すすんでは推奨されないかもしれません。その場合はたまに抱っこしてあげることで、体圧を一時的にリリースしてあげることができます。

T.S.

"にゃんぱく宣言" 聞きましたか? 19年07月09日

さだまさしさん作曲"にゃんぱく宣言" ACジャパンのTVCMや新聞広告を耳にした、目にした方も多いのではないでしょうか。

お前、俺の飼い主ならば 俺の体、俺より管理しろ

(中略)

忘れてくれるな

俺の頼れる飼い主は

生涯お前ただ一人

くすっとしつつも、ハッと考えさせられる歌詞ですね。

猫ちゃんはわんちゃんと比べると、本当に病気を隠す生き物だと知られています。

体調が悪いと教えてくれない猫ちゃんの健康のパロメータとして、まずは食欲や飲水量,

体重ですね。

自宅ではヒトと一緒に測って、ヒトの体重を差し引いて体重を確認できますが、体重測定だけでも病院に来てもらっても構いませんので、どんどん記録していきましょう。

他に、元気に見える猫ちゃんでも、1年に1は病院での健康診断をおすすめしています

特に7歳を超えてきた猫ちゃんについては腎臓病や甲状腺機能亢進症に罹る子が多くなってくるため、尿検査や甲状腺ホルモンを含めた血液検査をおすすめしています。

尿検査用のスポイトもお渡しできますし、綺麗な容器であれば何に採尿してもらっても構いません。

尿の取り方がわからないときはぜひご相談ください。

猫ちゃんの体、猫ちゃんより管理するお手伝いをぜひさせていただけたら、と考えております。

M.K

猫の甲状腺機能亢進症の治療で内科療法の副作用でお困りの方へ。 19年07月07日

6月も甲状腺機能亢進症の手術が続いています。幸いにいままで手術をおこなって異常をきたした猫ちゃんはおりません。最近甲状腺機能亢進症と診断され抗甲状腺薬を処方してもらったのだけど副作用がひどくて投薬を断念しているというご相談が多くあります。副作用としては嘔吐、食欲不振、顔面、頸部自傷性剥離が代表的なものです。今月も副作用で大変になった猫ちゃんたちが、y/dへの食事変更、少量投薬、回数変更等によるコントロールから甲状腺値をできるだけさげたあと手術行い内服薬を飲まない生活を送れるようになっています。いやがる猫を捕まえて毎日薬を与え続けペットとの信頼関係をなくすくらいならなにも治療をしないという飼い主さんもご相談ください。いやがるうちの猫をつかまえて内服させることがありますが、やっぱりいやですよね。

写真は先日行った18歳の猫の甲状腺と上皮正体です。手術は高齢の猫が多く症例の平均年齢は16歳くらいです。20歳をこえて手術する猫ちゃんも多くいますよ。

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2019年 春季合同外科学会 参加報告 19年07月01日

2019年6月15-16

今年も埼玉県大宮ソニックシティで獣医循環器学会、画像診断学会、内視鏡外科研究会の3つの学会による合同学会が開かれました。今回の参加人数は過去最多となり、それぞれの分野に特化した獣医師による様々な興味深い講演を聴くことができました

特に循環器学会におきましては今年の4月にアメリカ獣医内科学学会(ACVIM)により新たな分類方法が提唱され話題になりました。

それは僧帽弁閉鎖不全症の症例における内科的治療以外に外科的手術適応に至るまでの新たなガイドラインであり、僧帽弁閉鎖不全症の分類に関してステージA~D、さらにBにおいてはB1、B2と分類されるまでは今までと同じですが、B2のおける治療法、並びに診断基準の追加が提唱され、今後アップデートされる予定です。

これらの報告がなされ次第、今後の治療方針に役立たせていきたいと思います。

H.F

大会初日後の恒例の情報交換会の様子