南が丘動物通信

リンパ球形質細胞性鼻炎 17年09月10日

 リンパ球形質細胞性鼻炎は、犬や猫において最も多い慢性非感染性鼻炎で、ヒトでは特定の季節の花粉や真菌、動物の鱗屑や羽毛、ハウスダストマイトなどを吸引することにより誘発されるとされていますが、犬や猫においては明確な原因は不明です。現在のところ、ヒトと同様アレルゲンや刺激物質の吸引も一因と考えられていますが、免疫介在性の可能性が示唆されています。

 本疾患は、リンパ球や形質細胞などのリンパ系炎症細胞が鼻腔粘膜を刺激し、漿液性~粘液性の鼻汁が分泌されます。これらリンパ系炎症細胞の浸潤が鼻腔粘膜の防御機構を崩壊させ、細菌が増殖し最終的に粘性の膿性鼻汁が分泌されるようになってしまいます。ミニチュア・ダックスフンドやウィペットで好発し、中齢での発症が最も多いと考えられています。

 確定診断には、CT、MRI、内視鏡などの画像検査により他の鼻腔疾患との鑑別を行い、鼻腔内の粘膜組織を採取し、病理組織学検査をすることが必要です。

 治療は、グルココルチコイドを中心とした免疫抑制療法を行い、二次感染が起こっている場合には抗菌薬の投与なども行います。ネブライザー療法も症状の軽減には有効であることがあります。しかし、こういった治療を行っても、根治は難しく、治療途中での中断は再燃する可能性が高い疾患です。残念ながら現在のところ本疾患を予防する方法は分かっていませんが、本疾患は粘稠性鼻汁による誤嚥性肺炎を起こすことがない限り、死に至ることはないため、バランスを取りながら上手く付き合っていくことが必要です。

T.H.

眼底検査 17年09月03日

 眼底とは文字通り眼の底部分のことで、フィルムの役割を果たす網膜、視神経の集まった視神経乳頭など重要な構造が集まっています。暗闇で動物の眼が緑や赤に光って見えるのは、眼底の脈絡膜の中のタペタム(輝板)という部分が光って見えるためです。眼底は主に視覚機能に関わっていることが多く、視覚障害へのアプローチとして眼底検査が実施されることが検査目的となります。

 検査は検眼鏡や、眼底を診るために作られたパンオプティック、倒像検眼鏡などで行います。近年では操作が簡単で容易に眼底を映し出してパソコン上に記録できるクリアビューという機器もあり、当院でも扱っておりますが非常に検査が楽で助かっています。

 眼底所見は主に視神経乳頭、タペタム、網膜血管、ノンタペタム領域の所見をチェックします。犬と猫の違いや、犬種などでも正常所見が異なるために注意が必要です。しかし眼底は血管や神経の異常をビジュアル的に把握できる数少ない構造であるために、その所見は貴重なものになります。

 眼底検査によって分かる病気は多様で、網膜剥離、進行性網膜委縮、眼底出血や、視神経乳頭浮腫で脳腫瘍や脳炎などもわかることがあります。高齢猫は腎不全からの高血圧で網膜剥離などを起こし失明を起こすことも多くあります。

 眼科疾患はいくつかの検査を組み合わせて診断に結び付けることが多く、眼底検査も大事な検査となります。

T.S.