南が丘動物通信

動脈管開存症(PDA)の仔犬 16年11月29日

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動脈管開存症は胎児のころに活躍していた血管が生まれ てからも残ることで起こる病気です。連続性心雑音が特徴です。今回の仔犬は収縮期雑音が認められ、心音図でも間違いなく、判断に苦慮しました。心エコー検査で確定的と思われたのですが、特徴的な心雑音ではありません。CTからも確定診断を行い手術になりました。マルチーズの2カ月たらずの仔犬でしたが頑張って大きな手術に耐えてくれました。術後10日目の心エコーではPDAから併発していた僧帽弁逆流も消えていました。とってもかわいいこです。長生きしてね。

犬の尿道脱 16年11月27日

尿道脱とは、尿道粘膜が陰茎の先端を超えて突出した状態のことです。過剰な性的興奮やマスターベーション後に生じたり、泌尿生殖器の感染に伴い発生することがあります。発生が最も多いのは若齢のイングリッシュ・ブルドックですが、ボストンテリアやヨークシャー・テリアでも報告があります。それほど多い病気ではないですが、陰茎の先端に赤い突起物がある、出血しているとの主訴で来院されることが多いです。尿道粘膜が反転して出てきてしまっているので乾燥しますし、犬が舐めることにより尿道粘膜を傷つけて尿道が壊死する場合もあります。間欠的または慢性の出血を起こしている犬では貧血が見られることがあります。鑑別診断としては、包皮から出血を起こす他の要因(尿道炎、陰茎骨の骨折、尿道結石、包皮・陰茎・尿道の腫瘍)がないかを診ていきます。

内科的療法としては感染のコントロールを行い、尿道粘膜が壊死していなければ滅菌綿棒でやさしく押し戻します。脱出の再発を防ぐために尿道開口部周囲の陰茎を、尿路を閉鎖しない程度に巾着縫合する場合もあります。

外科的療法は、脱出した尿道を切除する方法が通常の選択肢となります。脱出を整復した後にマットレス縫合で尿道内腔を陰茎の外側にいくつか止めておくと線維化を促して再発を防止するとも言われています。勃起や性的興奮に伴い脱出が生じる犬では、去勢手術も再発防止になります。

先日はトイ・プードルが尿道脱で来院されました。この子もマスターベーション後の尿道脱でした。内科的療法で再発しないかを経過を見ています。

M.M.

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動物臨床医学会年次大会発表無事終わりました。 16年11月22日

動物臨床医学会に当院から、肺水腫を伴う僧帽弁閉鎖不全症犬に僧帽弁形成術を実施した1例(橋爪 拓哉)絹糸起因性無菌性脂肪織炎による後躯麻痺および融解性角膜潰瘍を呈した犬の1例。(坂東 秀紀)の2題発表いたしました。2題ともに良い発表ができたかと思います。また今後も貢献する発表ができるように日々臨床と取り組んでいきたいと思います。

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猫の消化器型リンパ腫 16年11月20日

 犬猫も人同様、加齢とともに腫瘍性疾患が多く発生します。猫では造血器腫瘍が腫瘍の三分の一を占め、そのうちの50~90%がリンパ腫と言われ、特に発生が多くなっています。1960~80年代は猫白血病ウイルスによる若い猫での縦隔型と多中心型リンパ腫がほとんどでしたが、21世紀の現在ではウイルス感染に依存しない老齢猫での消化器型リンパ腫が圧倒的に多くなりました。
 胃から直腸までのすべての消化管に発生しますが小腸が最も多いです。嘔吐や下痢は半数程度しか見られず、食欲不振や体重減少が認められるだけの猫が多く、発見が遅れがちです。胃腸に明らかな腫瘤ができるというよりはただ厚くなるだけだったり、また内視鏡の届かない部分に発生しやすいことも発見を遅れさせる要因になります。よって理想は開腹下での組織生検での診断ですが、状態によりそれが難しいこともあり、診断的治療を行うこともしばしばです。
 組織グレードにより高グレード(高悪性度)、低グレード(低悪性度)に分類されますが、いずれも治療は抗がん剤がメインになります。抗がん剤治療に対する飼い主さんの持つイメージは悪いですが、猫では重篤な副作用が現ることはまれで、多くの猫が許容できます。高グレードでは数ヶ月、低グレードでは年単位で頑張ってくれます。
 猫はどんな病気でも多くは発見が遅れます。高齢の子で少しでも体調の変化があった場合は早めの受診をおすすめいたします。

T.S.

猫の甲状腺機能亢進症 手術前、手術後 16年11月19日

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写真を整理していたら15年以上前の写真が出てきました。甲状腺機能亢進症で両側甲状腺摘出を行った猫のみーこちゃんの写真です。上が16歳、手術前体重1.16kg、下が17歳、手術後10カ月目、体重2.88kgです。抗甲状腺薬を投与しましたが、削痩と食欲不振、不整脈が落ち着かず手術しました。同じ猫と思えないくらいですよね。

鼻がガサガサになったら 16年11月06日

ワンちゃんで鼻がうろこのようにガサガサになることがあります。症状はそれだけでほっとかれがちですが、自己免疫疾患である落葉状天疱瘡や円盤状エリテマトーデス、ラブラドールレトリバーの遺伝性のもの、副交感神経の機能障害による角質増多症可能性としてあげられます。

副交感神経の機能障害では鼻腺からの分泌が上手くいかなくなること、ドライアイまたは鼻涙管が閉塞していることによって水分が減ることで角質が増えてガサガサになってしまいます。保湿して皮膚を軟化させてあげることで解決する場合もあります。 しかし自己免疫疾患のものではそうはいかず、ステロイドや免疫抑制剤が必要になります。診断をつけるにはこれらをひとつずつ除外する必要があります。ワンちゃん自身に症状が強くでていなくても一度相談していただけたらと思います。

K.Y