南が丘動物通信

ウサギは自分の便を食べるの? 16年02月28日

 ウサギは近年ペットとして人気が高く、犬猫に次ぐコンパニオンアニマルとしての地位を確立しつつあります。鳴かない、におわない、大きな生活空間を必要としないなど、現代のライフスタイルにマッチした動物といえます。しかしウサギは私たち人間はもちろん、犬や猫とは異なる食性をしているため、飼育に際しては理解が必要となります。今回はそのウサギさんの消化生理について述べたいと思います。

 ウサギは盲腸で発酵を行う単胃草食動物です(牛などは胃が4つあるので複胃草食動物)。盲腸の中には多くの細菌が存在し、消化に大きな役割を果たしており、摂食物の約60%が盲腸内に入っているといわれています。栄養価の低く高繊維の草を、盲腸の細菌が分解してエネルギーにしており、ウサギはそのエネルギーを頂戴するという形になっています。また高繊維のものを食べ続けることで伸び続ける歯を削ることにもなります。そのため本来の食べ物でない高栄養の食物を与えると逆に消化不良を起こし、肥満や臼歯過長などのトラブルを引き起こすだけでなく、盲腸の細菌叢を乱し、重大な疾患を起こしうるのです。また盲腸の細菌はビタミンB群やビタミンKを産生しますが、これを便とともに排出し、ウサギはこれを摂食することでこれらビタミン群を補給します。これはいわゆる盲腸便と呼ばれ、便周囲にスライム状の粘液が付着していますが、これは摂食した際に胃酸でビタミンが破壊されないように保護するためのものです。

 炭水化物を多く与えると、腸内の病原細菌が活発になり毒素が発生し死に至る可能性があります。また野菜は好きなウサギは多いですが、水分量が多く繊維は少ないためにウサギの栄養特性を考えると理想的ではありません。そのためウサギは、チモシーなどの乾草を主食とし、少量のラビットフードを与え、おやつなどはほんの少量だけ、というのが理想的になります。

以上がウサギさんの代表的な食性についてですが、実はウサギさんの病気の多くは栄養学的な管理の失宜であることが多いのです。そのためウサギの食事を理解することは病気の予防であり、健康に毎日を過ごすために大事なことなのです。

T.S.

PDA(動脈管開存症)の子犬 16年02月25日

動脈管開存症とは胎生期にある大動脈と肺動脈との間をつなぐ管が閉じることができずに生まれてしまう心臓病です。放置しておくとほとんどが1年以内に死亡すると言われています。2週間まえに手術した子犬が抜糸にやってきました。とっても元気です。手術当日の朝、肺水腫を起こしていましたが、700gという小さな体で何とか頑張ってくれて、IMG_2912.JPG無事手術もおわり退院しました。僧房弁逆流もへり、左心房も小さくなってきました。どこまでよくなるか楽しみです。

ハムスターの頬袋脱 16年02月14日

ハムスターは頬から肩にかけて、伸縮性のある頬袋と呼ばれるエサを収容しておくための袋をもちます。水に落ちたときには頬袋を膨らませて短時間ながら泳ぐこともできます。

この頬袋ですがまれに口から飛び出してくることがあります。これを頬袋脱といい、感染、炎症、過形成、頬袋を牽引している筋肉の損傷などによっておきます。口から飛び出してしまった頬袋は外科的な処置が必要です。発生から時間が経過してない場合、頬の外側から縫いつけることで整復してあげることができます。時間がたってしまった場合、その頬袋を摘出します。頬袋はエサを収容する役割のみなので摘出しても、支障なく生活が送れます。しかしながら保存してあげるほうがいいと思われるのと、膿瘍や腫瘍でないか区別する必要がありますので早めの受診をオススメします。K.Y

犬にインフルエンザはありますか? 16年02月07日

インフルエンザが流行する季節ですね。飼い主様から「犬にはインフルエンザはありますか?」という質問があります。

現在、海外では犬インフルエンザの発生、流行があるといわれています。

犬インフルエンザは犬の呼吸器疾患を引き起こす感染症であり、現在2種類の犬インフルエンザウイルスが報告されています。

H3N8亜型CIVは2004年1月にアメリカ合衆国フロリダ州で呼吸器症状を呈した競技用のグレイハウンド22頭から分離されました。感染した22頭のうち14頭は回復しましたが、8頭は出血性肺炎を伴い死亡しました。その後もグレイハウンドでの流行や家庭飼育犬における感染も確認されています。このウイルスは現在アメリカ国内で定着していると考えられています。また、このウイルスは本来馬の間で流行していた馬インフルエンザウイルスが何らかの原因で犬に感染し、その後犬間で感染を繰り返すことによって犬に定着したものと思われます。

H3N2亜型CIVは2007年に韓国の動物病院において重度の呼吸器症状を呈した犬から分離されました。このウイルスは韓国、中国、日本の野鳥が保有しているH3N2亜型鳥インフルエンザに由来することがわかりました。その後、韓国、中国、タイなどアジア地域で流行していましたが、2015年には北米での発生も確認されています。

このウイルスは流行が起こった犬舎に同居していた猫にも感染が確認されており、犬と同様に呼吸器症状を示したとのことです。

これらのウイルスは現在のところ日本での発生はないが、近隣諸国で流行していることや感染拡大傾向にあることから今後注意すべき疾患であります。また、今のところ犬から人への伝播は報告されてないとのことです。

D.T