南が丘動物通信

下痢 13年05月28日

 下痢とは、排便における回数の増加、流動性の増加、量の増加のうち1つ以上当てはまるものを指します。主な原因として食餌、寄生虫、細菌感染、中毒などがあげられます。下痢には小腸性のものと大腸性のものがあり、その特定は便の量や回数、色などで判断します。
 小腸性の下痢は便の量、回数が増加します。また、しぶりは見られず、通常黒色便がみられます。関連する兆候として嘔吐、体重減少、脱水がみられます。
 大腸性の下痢では便の回数は増加しますが、量には著しい変化がみられません。また、しぶりがみられ、便に鮮血や粘液が付着することがあります。大腸性の下痢は小腸性のものとは違い、嘔吐や体重減少がみられることは稀です。
 下痢の診断はこれらの特徴に気を付けながら問診をし、原因を特定することが重要です。

排尿障害 13年05月25日

排尿は,自律神経と体性神経の組み合わせにより調節されています。自律神経は内膀胱括約筋を,体性神経は外膀胱括約筋を支配しています。膀胱に尿が貯留すると膀胱壁が伸展し膀胱壁が一定の厚さ以上になるとそれぞれの神経に刺激が伝わり,筋肉が弛緩し排尿が起こります。
排尿障害は①大きく拡張した膀胱が認められるものと②小さいあるいは正常の大きさの膀胱が認められるものの二つに分けることができます。①では神経の障害によるものと,物理的な尿路の閉塞が原因となるものがあります。②では先天異常,膀胱や尿道の刺激や炎症によって排尿筋の収縮力の増大,あるいは尿道括約筋機能不全症(USMI)による尿流出抵抗の低下が原因となります。USMIは避妊手術済の中型犬種から大型犬種の雌犬に多く見られ,加齢やエストロゲン濃度の低下による泌尿生殖器のコラーゲン性支持構造の減少が主な原因とされており,治療にはホルモン補充療法やαアドレナリン作動薬の投与があります。
排尿障害の治療には圧迫排尿や無菌的なカテーテルの挿入が必要となる場合があり,継続した看護が必要になります。継続看護では定期的に尿検査を行い尿路感染をコントロールする必要があり,尿の色と臭いに注意して,重度の尿路感染を防ぐ事が重要です。

皮膚の脱毛症 13年05月22日

動物の毛には、いろいろな周期があります。毛包の状態が活発に毛を産生する状態を成長期、毛包が退縮する過程を退行期、毛包が退縮している状態を休止期と言い、毛は休止期を経て抜け落ちます。脱毛には、炎症性脱毛と非炎症性脱毛に分類されます。炎症性脱毛は、炎症によって毛が抜け落ちるので炎症が治まれば毛は生えてきます。非炎症性脱毛は、この毛周期に異常を起こしたり、毛周期が正常でも、正常の毛が出来ない結果、毛が折れやすくなったりして脱毛が起こることがあります。甲状腺機能低下症では、毛が形成されるのに必要な成長期を促すことができず、毛が休止期の状態になってしまい、脱毛してしまいます。副腎皮質機能亢進症では、毛の状態は休止期の増加と毛包の委縮で毛が抜けやすい状態になってしまい脱毛を起こすと考えられています。また雌の性ホルモンが過剰の状態でも毛が成長期になることを抑制してしまい毛が脱毛すると考えられています。
以上の病気は、治療が必要な内分泌疾患でありますが、そのほかにも遺伝的に毛周期が正常ではない結果脱毛をおこしたり、毛にメラニン顆粒が取り込まれる過程で異常をおこし、毛が正常に発育できない毛になってしまう病気や心因性でなめ続ける結果脱毛してしまうことまで多岐にわたります。
そういった病気を診断するのに、毛の脱毛パターンの把握の為の毛根、毛軸の検査、細菌や真菌検査、バイオプシー検査、ホルモン検査などが行われています。

ウサギの子宮疾患 13年05月22日

雌のウサギは、子宮疾患が非常に多く認められます。
ウサギで10歳を超えてくるウサギは、避妊手術をしている個体がほとんどです。
ウサギの子宮疾患は、子宮内膜過形成、子宮腺癌、子宮腺腫、水腫、筋腫が多くみとめられます。
子宮疾患が多い理由として、発情期が非常に長いという、発情周期の関連が考えられていますが、
明確には不明な部分も多いです。
症状として、明らかに出血が認められることもありますが、無症状で経過することも多いです。
また、陰部からの出血も、血尿と認識いてしまうこともおおいので、注意が必要です。
食欲不振が認められる場合、貧血や腹膜炎、子宮の腫大による圧迫など、状態が非常に進行している場合が多いです。
ウサギはもともと症状があらわれにくい動物ですので、普段から注意深い観察が必要であるとともに、
避妊手術を若いうちにしてあげることで、長生きさせてあげれるので、雌のウサギを飼ってられる方は一度ご相談ください。

猫の甲状腺摘出(甲状腺機能亢進症) 13年05月02日


猫の甲状腺機能亢進症による甲状腺摘出手術が続きます。今回の症例は15歳の男の子です。
左甲状腺の肥大が認められました。
甲状腺機能亢進症の治療として、食事療法、抗甲状腺剤による内科療法、放射性ヨード療法、外科療法があります。
食事は、ごく初期のものの維持、手術後の反対側の再発予防に使用して効果をあることが期待されます。
内科療法は手術が困難な症例の維持、手術するまでのコントロールとして使用されます。
放射性ヨード療法は素晴らしい方法ですが現在 の日本における法律では行うことはできません。
長期間の維持または治癒をめざすのであれば手術が必須です。
しかし上皮小体を残すことが難しい手術であることが普及の妨げになっています。
また前もって放射性物質をあたえ甲状腺のある場所をあらかじめ知っておくことは日本ではまだできないため、場合によっては開けてみたけれど胸の中にあったというようなことがまれにあります。
手術のメリットは長寿だけでありません。術後の甲状腺の維持の薬は95%以上で必用がなくなり、費用面でも経済的です。