南が丘動物通信

猫の肺指症候群 12年11月27日

 犬と猫における原発性肺腫瘍の挙動を比較すると、大きな違いは転移病巣の発現部位にあります。犬では肺組織やリンパ節転移が多いのに比べて、猫では全身に転移するほうが多いと言われています。猫の原発性肺腫瘍の好発転移部は指であり、特に第3指に転移病巣が認められます。他に腎臓、心臓、筋骨格、胸腔内などに転移がみとめられることもあります。猫の肺腫瘍で発現する症状で最も多いのは発咳や呼吸困難でなく跛行です。
 ある報告によると指に腫瘍が発生した猫の87%が転移性腫瘍であり、他は扁平上皮癌であったと報告されています。つまり指に腫瘍が認められた際、ほとんどは転移により出来た病巣であるということです。
 猫が跛行している際の鑑別診断として咬傷や骨折、血栓症などがあげられますが、原発性肺腫瘍の転移も常に考慮しなければなりません。

ノギ(草の種)にご注意 12年11月22日


11月20日の症例です。この時期は草の種によるトラブルがよくみられます。
中型の犬ちゃんが耳を振り続けているとのことで来院しました。
耳鏡で中をのぞいてみるとノギが入っており出血がみとめられました。
ノギの種には毛が生えており頭を振れば振るほど、どんどん奥に入っていきます。
麻酔をかけ耳科用内視鏡を用いて摘出いたしました。
比較的入口に近いところに一つ、中腹に一つ、鼓膜に二つ刺さっており、そうとう痛かったのではないでしょうか。無事にすべて取り出すことができました。
写真に写っているのが内視鏡で、綿の上にとりだしたノギが四つ。内視鏡から顔を出しているのが
異物鉗子でこれでつかんで取り出します。以前は耳鏡を使っておりましたが内視鏡にすることにより
より正確に安全確実に摘出することができるようになりました。
秋から冬にかけて草の多い道を散歩するときは十分注意してください。

不安障害 12年11月13日

 未知、あるいは想像上の原因から将来の危険を予想して、恐怖に関連した身体的反応を示すことを不安といいます。不安は特定の状況で一般化したり、あらゆる事柄に対して生じたりします。多くの場合は与えられた環境に対する正常な適応反応なのですが、動物が脅威から逃れられなく極度の場合、動物の健康と寿命にとって有害な慢性ストレスとなってしまいます。
 分かりやすいものでは、飼い主と離れると現れる分離不安や、音(雷や花火)に対する恐怖症などです。きっかけとなる刺激に対して過去に悪い経験があることや、幼少期の社会化時期に様々な刺激への経験が乏しい場合は、極度な怖がりになるといわれています。
 頻脈、視床下部・下垂体・副腎軸の変化、食欲不振、胃腸障害、自傷などの身体的影響が現れ、破壊行動もよくみられます。かわいそうなことに攻撃行動を示すこともあり、凶暴な動物と勘違いされることもあります。行動異常を伴う疾患、例えば脳疾患や代謝性疾患などとの鑑別が重要です。
 治療に際しては、まずは行動療法から開始し、顕著でない場合や不安が非常に激しい場合には薬物療法も併用します。基本的な注意事項ですが、薬物療法は効果が現れるまでに4~8週間かかること、薬物療法だけでは意味がなく必ず行動療法も併用しなくてはいけません。また動物がケガしないような安全対策も必要です。

骨盤骨折手術 12年11月13日


11月12日骨盤骨折手術。交通事故の骨折です。
麻薬(フェンタニル)による鎮痛を術前より行っていますが術後は
やはり痛そうです。骨盤骨折は自動車にぶつかったり、車が上にのってしまうタイプの
事故によりよくおこります。難易度が高い手術ではありますが放置すると歩行困難だけ
でなく排便障害をおこすものもかなりあります。
一昔前までは猫を放し飼いにするためたくさんありましたが、すこし改善されているようですが・・・。
皆さん交通事故には十分気をつけて、散歩中のひもが離れることによる事故もおおく引っ張ったときに離れない工夫も必要です。注意してください。

高齢動物の栄養管理 12年11月06日


 近年、人間社会と同様に、動物社会でも生活環境の改善や獣医療の発展、家族の病気に対する意識の向上などにより平均寿命が飛躍的に長くなっています。一方で動物の高齢化に伴い、高齢期疾患の発生も増加してきています。
 高齢動物の加齢による身体機能の変化として、基礎代謝の低下、循環器系・泌尿器系・消化器系などの各臓器の機能低下、神経系の機能低下、筋・骨格系の機能低下、免疫機能の低下、皮膚・被毛の変化などが挙げられます。
 高齢動物の栄養管理は、これらの様々な変化をなるべく軽減させることを目標に行います。具体的には、①十分な量の消化性の高い良質な蛋白質、②ω6およびω3脂肪酸を適切な量に調整した脂肪、③血糖値をあげにくい炭水化物、④適切な量のビタミン・ミネラル、⑤ビタミンE、C、タウリン、ベータカロテンなどの抗酸化栄養素の添加、⑥グルコサミノグリカンやコンドロイチン硫酸の添加、などです。
 ただし、上記の内容は健康状態の良い高齢動物に当てはまるもので、何らかの疾患に罹患している高齢動物では内容の変更が必要となる場合があります。詳しくは獣医師にご相談下さい。