南が丘動物通信

慢性腎不全の食事管理 12年09月18日

 猫では年齢と共に腎臓疾患の発症率が増加し、慢性腎臓病は猫にとって切っても切り離せない疾患です。徐々にネフロンが破壊され、腎機能は低下し続けるために適切な管理が腎臓の寿命を延ばすことができると言っても過言ではありません。また高齢の猫では腫瘍や甲状腺機能亢進症などの他の疾患との併発疾患として存在しうるため、より管理が重要となります。

・水分摂取
 まずは十分な水分摂取が基本です。消化吸収の末に代謝水という水分が発生するため、実は食事を取ることで水分摂取ができ、猫では食事から水分摂取しているものも多いといいます。猫では食べないことは危険な状態のため、食欲がないときには食欲増進剤を使ったり、また口から与えることが困難な場合は経鼻カテーテルを設置して食事を与えることも非常に大切です。
・食事性リン制限
 腎からのリン排泄が低下することで高リン血症となり、これは血中カルシウム濃度を下げ、また低カルシトリオール血症も招くことで上皮小体機能を亢進させます。すると腎臓を含めた軟部組織に石灰化を生じ、腎障害をさらに助長します。そのため食事中のリンを制限する必要があります。それでも十分でなければ経口リン吸着剤を使用します。
・食事性蛋白の制限
 尿毒症物質の多くは蛋白質が元となる窒素化合物であることから、蛋白質の摂取量を減量することで尿毒症症状の改善に繋がります。
・アシドーシスの補正
 アシドーシスを補正することで腎臓の尿細管障害を抑制することができ、腎障害の進行を遅らせることできます。
・ナトリウム制限
 腎不全では高血圧が合併症として現れるため、ナトリウム制限が有効といわれています。レニン・アンギオテンシン系を考慮すると、ナトリウム制限の際にはACE阻害薬を併用したほうが良いのかもしれません。
・食事性脂質
 不飽和脂肪酸を添加することで血小板活性を抑制でき、腎機能の保持に寄与します。

以上のように、慢性腎臓病の猫では食事療法を行うことで腎臓を長持ちさせることができます。すべてを考慮した食事を作るのは非常に大変なため、一般的には腎臓病用処方食が推奨されます。猫の食事変更は月単位で徐々に行う必要があります。すべての処方食は獣医師の処方が必要ですので、処方食についてご質問があれば当院にご相談ください。
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腎臓処方食は多くの種類があり、猫の好みで選ぶことが可能です。

ウサギのツメダニ症 12年09月11日

 ツメダニ症は、ウサギツメダニCheyletiella parasitivorax の寄生によって起こる最も多く認められる外部寄生虫です。本症は、親以外のウサギと接触を持ったことのない個体に発症がみられることや3~4歳齡以上になってから発症することがあることから、寄生がありながら発症しない潜伏寄生の個体が多く存在するものと考えられています。従って、発症は何らかのストレスが引き金になっていると考えられています。
 症状は、主として後頭部から頸~胸背部の皮膚の発赤、落屑(フケ)、薄毛が認められます。通常は激しい痒みがあり、後肢でしきりに引っ掻きますが、一方であまり痒みが強く認められない個体もみられます。
 診断は、虫体もしくは虫卵を顕微鏡で確認することです。しかし、ツメダニ症らしい症状があるにもかかわらず、虫体の検出を何回行ってもツメダニが見つからない症例も時にあり、その場合は診断的治療を行うこともあります。
 治療は、セラメクチンのスポットオン製剤が現在のところ有効であると思われます。

ケンネルコフ 12年09月04日

ケンネルコフは咳を主症状とする犬の伝染性気管気管支炎のことで、アデノウイルス2型、パラインフルエンザウイルス、Bordetella bronchisepticaといった感染因子のひとつまたは複数によって引き起こされます。
二週間以内にどこかに預けたり、同症状を示す犬や子犬と接触したりした後に症状を起こすことが多いです。また、ペットショップやブリーダーの元からおうちに来たばかりの子犬でもよく認められる疾患です。
治療としては、抗生物質、鎮咳剤の内服投与を行なうと共に、吸入療法を必要とする場合が多いです。吸入療法は、直接気道内に薬が届くので、早期の症状改善が期待できます。また、補助的に浴室の蒸気を利用して加湿吸入を行なうと、症状が軽快します。
たくさんの犬と接触する場所に出かけた後や、新しくおうちに子犬を迎え入れる時などに気になる症状があればご相談ください。

マムシ咬傷 12年09月01日

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マムシに咬まれる事故が今年は多くあります。散歩に連れて歩いているといきなり犬がキャンと鳴いて気がつくと蛇がいたというケースが多いと思われます。田舎だけだと安心していると要注意、こんなところにもいるのという意外な場所でも咬まれています。草むらは注意してくだい。
臭いを嗅ぎにいって鼻先をかまれる、足でつっついて足先を咬まれる事が多く、咬まれたところに小さな2つ穴が開いており血が止まりにく、じくじくとにじんできます。
そのうちにどんどん腫上がってくる、内出血をおこすのが特徴です。放置していると皮膚が広範囲に腐ってくることがあります。副腎皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤、セファランチンとよばれるマムシ咬傷の薬も使用されます。人間のように抗血清が使われることはありません。近年は犬が弱くなったのか、以前に比べ症状が重篤化する症例が増えているように感じます。播腫性の血管内凝固をおこしたり、自己免疫性溶血性貧血をおこす症例もあります。咬まれたとおもったらで切るだけ早く獣医師の診察をうけてください。診察時間外の場合でも主治医に連絡をとり、場合によっては夜間救急で診察をうけてください。