南が丘動物通信

ウサギの臼歯不正咬合による過長症 11年07月26日

ウサギの臼歯不正咬合による過長症は、ウサギで最もよく見られる疾患の一つです。
その発症の原因は、多くの要因が複合的に関わっていることが多いですが、その中でもウサギの小型化が最大の要因であると考えられています。特に1~2kg程度のウサギはそれ以上のウサギに比べて注意が必要です。また、ロップイヤーよりも立ち耳のウサギの方が、雌よりも雄のほうが発症しやすい傾向にあります。この他に、先天的な構造異常や新生子期の栄養障害、幼齢期の外傷など様々なことが素因として考えられます。
以上に挙げた素因よりも最も重要なのが食事内容です。すなわち、ラビットフードや穀類、種子類を多食して乾草を食べないもしくは不十分にしか食べなければ発症しやすく、乾草を多く食べていれば発症しにくいという事です。よって、幼い頃からの徹底した食事管理が非常に重要となります。

症状は、急激な(まれに徐々に)食欲低下、飲水困難、流涎、口をクチャクチャさせる、といった事がよく認められます。ほとんどの場合、元気は低下していません。特に本症は本当に食欲が低下しているのではなく、口の中が痛いために食事に興味を示すが食べられないというのが特徴です。しかし、本症による食欲不振、飲水困難が長期化すると、腸管うっ滞や肝障害、腎障害などを併発する恐れがあり、その場合は元気はなくなり、食欲も低下しています。

治療は、尖っている臼歯を削るもしくはぐらついているようであれば抜歯を行います。併発症がなければ治療には非常に良く反応し、すぐに食べられるようになりますが、ほとんどの場合で再発は免れません。

臼歯不正咬合の予防には、幼い頃からの食事管理が非常に重要となります。食事は必ず乾草を主食とし、ペレットフードは成長期には体重の2~2.5%、維持期には1.5%以下、そして4~5歳を過ぎたら1%以下を目安として制限し、ハードタイプのペレットは避けるべきです。
日々の食生活によって発症を抑えられる可能性がある疾患ですので、食事には十分に気をつけて下さい。

顔面神経麻痺 11年07月19日

顔面神経麻痺の症状は、損傷の部位と重症度によりかわりますが、顔面の片側もしくは両側が影響を受けることがあります。瞬きがきない、耳・上唇の下垂・口角から涎がたれるなどの運動機能の喪失が認められます。顔面神経刺激による涙腺の分泌低下のため、乾性角結膜炎を発症することがあります。
原因としては、外傷による神経の損傷以外にも、炎症・感染・腫瘍などによる損傷が考えられますが、原因不明なことが多く、犬では75%、猫では25%が特発性顔面神経麻痺と診断されます。
顔面神経麻痺が認められた場合には、基礎疾患の有無を調べていく必要があります。中耳炎・内耳炎・炎症・腫瘤・代謝性疾患があるかどうか確認が必要です。
また、それ以外にも、甲状腺機能低下症によって顔面神経麻痺を起こしてくることがあります。
特発性顔面神経麻痺と診断する前に、きちんとした原因 の精査、それに対する治療が必要です。
顔面神経麻痺は原因は不明なことも多いですので、治療法がないこともあります。麻痺は永続的に続く場合もありますが、2週間~6週間で自然に治癒することもあります。
顔面の神経を刺激する鍼治療が有用な場合もあります。
愛犬・愛猫の顔が左右不対象になって気づくことが多いですので、気になったらから正面から観察してみてください。

潜在精巣 11年07月05日

精巣は胎生期に腹腔内で発生し、通常犬では生後30日、猫では生後20日頃に陰嚢内に下降します。潜在精巣とは、精巣の下降が不完全で、精巣が腹腔内または鼠径部に停留している状態です。犬は他の動物と比較して発生率が高く、遺伝性の疾患であることが知られています。

潜在精巣の犬では精巣の腫瘍、特にセルトリ細胞腫や精上皮腫の発生率が高く、高齢犬では10 %以上であるとも言われています。さらに、腹腔内に精巣が停留した動物に発生したセルトリ細胞腫においてはリンパ節や肝臓、肺等に転移する頻度も高いという報告があります。したがって潜在精巣であることが判明したら、早期に去勢手術で左右の精巣を摘出することが推奨されます。
精巣が陰嚢内に下降してきているかどうかは見た目や触診で簡単に分かるので、子犬を家に迎えたら注意して見てあげてください。