南が丘動物通信

小動物の血液透析 11年05月24日

 透析は、腎臓に代わって体内の有害物質を排泄する方法で、大きく分けて血液透析と腹膜透析に分けられます。血液透析は機械に血液を通して濾過し、腹膜透析は体内の腹膜を使って濾過します。
 小動物臨床においても以前から透析、特に血液透析が行われていましたが、残念ながら評価はあまり高くありませんでした。しかし近年、透析装置の性能の向上と共にその有効性が増し、人医療と同様の効果を得ることができるようになってきました。特に急性腎不全や無尿症など、今までは治療を行っても救命することが困難であったケースに対して最も効果が期待できる治療法になります。また、慢性腎不全においても透析によって状態の改善が期待できます。
 当院でも最新の血液透析装置を導入し、病気に苦しむ動物達を救い、少しでも長く飼い主様と共に過ごせるよう努めています。透析をご要望の方は一度ご相談下さい。

歯周病 11年05月17日

歯周病
歯垢は唾液の糖タンパクや食べ物の残渣、細菌からできています。歯垢が長期間付着していると、唾液に含まれるカルシウム塩が沈着して石灰化し、歯石となります。
歯石が存在すると、細菌がさらに増殖しやすくなります。
歯石に存在する細菌の毒素などによって、歯茎に炎症を起こす歯肉炎、さらに歯の周囲組織に炎症が波及する歯周炎を起こしてきます。
慢性化してくると、歯の根元に炎症が起こり、膿がたまったり、周囲の歯槽骨が破壊され、歯肉、皮膚に穴が開いたり、骨折を起こしてくる場合もあります。
さらに、歯石における細菌感染によって、口腔内だけでなく、血流を介して全身の臓器(腎臓、肝臓、心臓など)に影響を及ぼし、命に関わる危険性があります。
歯石が重度になってくると、普通のケアでは除去するのが困難になり、麻酔科での処置が必要となってきます。さらに、歯の根元まで炎症が起こった場合、抜歯など行うことが必要です。
日ごろのケアで、歯石の付着を防ぐことは可能です。歯磨きはもちろん、歯磨きが困難な場合でも、デンタルガムや飲水に混ぜるアクアデントなどもあります。人間に比べて歯垢が歯石に変化するのは約3日と非常に早いです。そのため、普段のケアも健康にとって重要ですので、一度病院にご相談ください。

犬の口腔内腫瘍 11年05月10日

口腔内腫瘍
DSC06140.JPG


犬の口腔内腫瘍で、一番多い腫瘍はメラノーマで口腔内腫瘍の30%を占めます。次に扁平上皮癌、繊維肉腫と続きます。犬のメラノーマは、平均12歳齢で、多くシーズーに多い傾向にあります。見つけた時には、サイズが大きくなっているか、リンパ節に転移していることがあります。扁平上皮癌は、平均7.5歳で、性差や種差はありません。発見した時にはリンパ節転移まであっても肺転移は稀です。局所浸潤性はあります。犬の繊維肉腫は、平均8歳齢で発症し、大型犬種に多い傾向にあります。局所浸潤性があり、遠隔転移は、扁平上皮癌よりは報告されています。また犬の棘細胞性エナメル上皮種は、平均12歳齢で生じシェルティーに多い傾向にあります。吻側での発生が多く、骨浸潤している場合もあります。
 一方猫では、扁平上皮癌が最も多く、猫の口腔内腫瘍の70%近くで生じます。
 犬、猫の悪性腫瘍の平均生存率は、犬では、542.7日、猫では、202.3日というデータがあります。犬での悪性腫瘍の生存率の比較では、扁平上皮癌が最も短い傾向にあります。
 治療は、まず外科的治療が第一選択で、場所、部位によって完全に切除が困難な場合、放射線治療、抗癌剤を組み合わせる場合があります。また血管新生阻害剤を併用する場合があります。
 口内腫瘍の外科的切除後や、腫瘍そのものが影響して、食事をとれない場合があります。特に猫ではその傾向があります。転移が認められなくても栄養が足りなく、衰弱していきます。その為に、口を通さない栄養補給、食道チューブや胃カテーテルを設置して、食事を与える場合があります。
 口の中は、動物が嫌がって見せてくれない場合が多いです。食べにくい、食欲低下、痛がる、涎や出血がある等ご不安な点がございましたらご相談ください。