南が丘動物通信

猫の前ぶどう膜炎 10年11月30日

前ぶどう膜は虹彩、毛様体および脈絡膜からなる眼内の層です。
前ぶどう膜に炎症が起こると、痛みを伴うため、羞明といってまぶしがる症状がみとめられたり、充血、角膜の混濁、縮瞳などが見られます。また、フィブリン塊や出血が前眼房に認められたりします。
炎症が激しく起こると、二次的に緑内障を起こしてきたり、失明する可能性もあります。
眼に対する治療としては、散瞳剤および抗炎症剤を使用して、炎症を抑えるとともに二次疾患を防ぐ必要があります。
猫のぶどう膜炎の原因としてはいろいろなものがありますが、その中で最も多いものとしては、ウイルス感染症です。猫伝染性腹膜炎、猫白血病などに伴って発症することが多いですので、ウイルス疾患があるかどうかをきっちり鑑別する必要があります。
眼の症状を呈していても全身的なものが原因となっている場合がありますので、きちんとした検査が必要になってくる疾患です。

犬の先天性水頭症 10年11月23日

 水頭症とは、脳脊髄液の産生、循環、吸収のバランスが崩れ、脳室または、くも膜下腔に過剰に脳脊髄液が貯留した状態と定義されています。先天性と、後天性とに分類され、後天性には、外傷、出血、腫瘍などがあります。脳脊髄液は、約70%は脳内で作られ、残りは脊髄くも膜下腔で産生されます。またその吸収は、大部分は、脳くも膜下腔へと上行し、静脈洞へと流れ込みます。その他には、リンパ管への吸収があります。水頭症の原因で、脳脊髄液の産生過剰は、あまり一般的ではありませんが、脳脊髄液を産生する脈絡叢の腫瘍による水頭症が知られています。閉塞は、脳室系経路の生理的狭窄部に生じやすく、中脳水道という部分での閉塞による水頭症が、犬やヒトで最も頻度が高いです。閉塞原因があきらかなものを、二次性、閉塞原因が不明のものを一次性と呼びます。イヌの先天的水頭症は、今までは、中脳水道の閉塞が、水頭症原因の多くを占めると考えられてきました。しかし、最近では、画像技術の発達によって、イヌでの水頭症の原因は、中脳水道の閉塞ではなく、吸収障害が、もっとも多い原因ではないかと推測されてきています。ヒトでは周産期脳室内の出血やくも膜炎により、くも膜絨毛に目詰まりを生じ、脳脊髄液の吸収障害を起こす例が比較的多く報告されています。しかしながら、イヌでは、現在では、未だ、このようなことは報告はほとんどありません。遺伝の可能性はありますが、先天性の水頭症は、原因が未だ明らかになってはいません。発生段階で、ウイルス感染、催奇形物質の暴露、栄養障害も示唆されています。猫の水頭症は犬の水頭症より遭遇する機会は少なく、中枢神経性FIP感染による二次性水頭症の報告が最も多いです。
 イヌの先天性水頭症の発生は、トイ種や小型の短頭種に多いです。特に、チワワ、ヨークシャテリア、トイプードル、パグ、ペキニーズ、マルチーズ、ポメラニアン、イングリッシュブルドック、キャバリアといった犬種に発生が多いという報告があります。
先天性水頭症は生後半年までに水頭症にともなった神経症状が出る事が多いですが、成犬になってから症状がでる場合もあります。
 診断は、CTやMRIと言った画像診断になります。また超音波での診断が可能な場合があります。
 治療は外科的なものであるなら、シャント形成術、内科的なものであれば、内服を飲むといったものがあります。

基底細胞腫 10年11月09日

基底細胞は皮膚の上層(表皮)の基部に存在します。これらの細胞の良性増殖性疾患が基底細胞腫です。基底細胞腫は犬では一般的に見られ、ほとんどが良性です。一般的に犬の基底細胞腫は中齢から高齢の犬に発生します。この腫瘍は頭部(特に耳)、頸部、前肢に最もよく見られ、硬結性で孤立性のドーム状に盛り上がった腫瘤としてみられ、しばしば脱毛あるいは潰瘍化していることがあります。腫瘍の大きさは直径1cm以下のものから10cm以上のものまでさまざまです。これらの腫瘍は黒っぽくなることがあり、嚢胞を形成することもあります。診断は細胞診で可能なことが多いですが、組織検査が必要になることもあります。基底細胞腫は良性ですが、大きくなり、広範の潰瘍や二次性の炎症を起こすことがあります。また、これらの腫瘍は皮膚を損傷し、皮膚組織の壊死、滲出液または膿の漏出を起こすことがあります。外科的に摘出することで根治が期待できる腫瘍です。

ウサギのスナッフル 10年11月02日

 ウサギのスナッフルとは、鼻炎・副鼻腔炎などの上部気道の炎症から起こる「くしゃみ、鼻汁、鼻閉などの呼吸器症状」を示す疾患の総称です。ウイルスや細菌などが原因の感染性のものと、切歯や臼歯の根尖部の過長や石灰沈着、あるいは口吻部の打撲などの外傷が鼻腔に影響を及ぼすことで起こる非感染性のものがあります。

 症状は、初期には鼻汁、くしゃみ、鼻汁による被毛の汚れを呈しますが、症状の悪化に伴い鼻閉による呼吸困難が起こると努力性呼吸、開口呼吸が認められ、一般状態も低下してきます。

 多くは細菌感染を伴うものであるため、治療は抗生物質の投与を行います。鼻汁などを用いた培養検査・感受性試験を行うことで抗生剤の種類を検討することができます。鼻閉による呼吸困難がある場合はネブライザー(液体の薬剤を噴霧する装置)を用いた治療を併用することもあります。

 早期の抗生物質の投与により症状が速やかに改善された場合には完治することも多いですが、再発する場合や慢性経過をとる場合も少なくありません。しかし、完治しない場合でも上記の治療や生活環境の改善などにより症状の軽減・コントロールが可能となります。